日本ロボットシステムインテグレータ協会(SIer協会)は7月23日、さいたま市大宮区の大宮ソニックシティで、産業用ロボットシステムに関連するさまざまな製品ツールや技術、サービスなどを紹介する「ロボットFA関連商品説明会」を開催した。当日は関連企業39社による展示会と、フィジカルAI関連およびロボット導入事例などのセミナーが行われた。

このイベントは、ロボットシステムインテグレータなどの生産設備事業者や、工場などさまざまな生産現場の事業者に向けて、ロボットなどの関連機器や周辺機器の展示を行うイベントで、会場では当日、ロボットシステム構築に関わるさまざまな製品ツールや技術、関連するサービスなどが展示されたほか、実機・モニターなどを使ったデモンストレーションが行われた。
展示会場では今回、特設コーナー「Step of フィジカルAI」が設けられ、昨今、話題になることが多いフィジカルAIに関する出展が一堂に会した。

当日はまた講演イベントが設けられ、“フィジカルAIとはどのようなものなのか、今のロボットシステムインテグレーションはフィジカルAIでどう変わるのか、といったテーマで、第一線で活躍する識者がフィジカルAI関連およびロボット導入事例など最新の動向を解説。そのうち特別講演が、以下のとおり行われた。
特別講演1「フィジカルAI入門編~生成AIの次に来る「現実世界で動くAI」~」羅本礼二氏(ソフトバンク 法人COO室 シニアアドバイザー、SIer協会 アドバイザー、経済産業省「AIロボティクス検討会」委員)…フィジカルAIにより、ロボットは「自律的に考え行動する」存在へと進化する。SDR(Software Defined Robot:ソフトウェア定義型ロボット)は、センサーデータ処理やモーター制御などをつなぐROS2(Robot Operating System 2)を中心としたオープンプラットフォームの有効活用によって、ハードウェアを大きく変えずに機能拡張やAI連携を行うことが可能。AIDR (AI Defined Robot:AIで定義・更新するロボット)は、AI×ロボットの融合によって、従来の固定的なプログラムではなく、AIを活用して環境を自律的に認識・学習し、柔軟に機能を最適化・拡張していくことで、高度なタスクを実行できる。Sierは、これまでのスキルを生かしつつ新しいシステムインテグレーターの形を模索することで、既存ビジネス領域において新たなビジネスが生まれ、また、新たなビジネス領域で新たなビジネスが生まれる。従来型ロボット+SDR、AIロボティクスを活用することによって顧客のニーズを形にする、新しい形のSIerが期待されている、と総括した。
特別講演2「ヒューマノイドは“労働力”になるのか~フィジカルAIが切り拓く実用化の条件~」加知光康氏(三菱電機 機器事業部Smart Industry Professional、SIer協会 アドバイザー)…フィジカルAIの登場によって、ヒューマノイドは初めて認識・判断・学習能力を獲得した。真の労働力となる条件は、認識・判断・作業・学習・継続稼働の5能力であり、現在のヒューマノイドは作業能力や継続稼働能力に課題を残すものの、初めて人間の労働構造に近づきつつある。ヒューマノイドの実用化はAIだけでは決まらず、知能・アクチュエータ・センサの進化が必要である。この三つの要素のうち、アクチュエータは小型軽量、高出力、高効率化と着実に進化しているため、実用化の鍵を握るのはセンサとシステム知能で、センサとシステム知能に強みのある日本には、大きな勝機がある。ヒューマノイドが社会インフラ化する時代には、AI基盤だけでなくヒューマノイドの主権確保も重要になる。ヒューマノイドは真の労働力になれる可能性が極めて高く、その実現を左右するのが、センサ、システム知能、そして、改善活動、品質文化、熟練技能、生産技術・ノウハウが多数蓄積している日本の製造現場である、と総括した。


