NTNは、工作機械主軸用軸受向け高速・長寿命グリース「SP-1」の量産を本年11月より開始する。量産化により、顧客による実機評価に必要な数量を安定的に供給できる体制を構築し、正式採用に向けた評価・提案活動を進める。
本商品は、高速回転時にも安定した潤滑性能を維持し、工作機械主軸用軸受の高速回転と長寿命化を両立する。SP-1を封入した軸受は、実機を想定した当社試験において、dmn値230万という業界最速の高速回転領域での運転を実現した。また、実際の使用環境を上回る厳しい条件で行ったdmn値140万の高速回転耐久試験では、18000時間を超える運転を継続しており、高速回転環境における優れた耐久性を確認。これにより、高速加工による生産性向上や設備の安定稼働、保守工数の削減に貢献する。さらに、高速回転領域におけるグリース潤滑の適用拡大を通じて、潤滑システムの簡素化や省エネルギー化にも貢献する。
近年、EV や半導体、航空宇宙分野を中心に、高精度部品の加工需要が拡大しており、工作機械にはさらなる高速化や高精度化が求められている。また、人手不足を背景に、設備の安定稼働や保守工数の削減へのニーズも高まっている。工作機械主軸用軸受の高速回転領域では、エアオイル潤滑が広く採用されているが、給油装置などの付帯設備が必要となることから、設備構成の簡素化や省エネルギー化につながるグリース潤滑への期待が高まっている。一方、高速回転時には、グリースの劣化や潤滑油不足による寿命の低下が課題となっていた。
こうした課題に対し、NTNは長年培ってきた潤滑技術を活用し、高速回転下でも安定した潤滑性能を実現するグリース「SP-1」を開発した。基油、増ちょう剤および添加剤の組み合わせを最適化することで潤滑油の供給性能を向上させ、高速回転下でも安定した潤滑状態を維持する。これにより、工作機械主軸用軸受の高速回転と長寿命化を実現している。
2024 年の開発発表以降、国内外の工作機械メーカーを中心に引き合いがあり、一部のユーザーと実機評価に向けた準備を進めている。こうした市場ニーズを踏まえ、SP-1 を封入した軸受をユーザーに提供する準備を整えた。SP-1 は本年11月より量産を開始する。今後はJIMTOF2026 への出展を通じて提案活動を強化し、中国をはじめとするアジア地域を重点市場として展開していく。
左:SP-1 ラベル、中央:高速・長寿命グリース、右:工作機械主軸用軸受