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ハノーバーメッセ2027

 

THK、工作機械の高精度化・省エネを支える直動技術と機械設計支援サービスを披露

多様化する工作機械のニーズに直動技術で応える

 工作機械には、加工速度と精度を高める一方で、消費電力や発熱を抑え、安定した加工品質を維持することが求められている。機械の高剛性化・高負荷化に加え、設計期間の短縮や技術者不足への対応も重要な課題だ。THKはLMガイドやボールねじなど直動システムの性能向上を進めるとともに、機械の設計・解析を支援するサービスを拡充している。「JIMTOF2026」で紹介された多数のソリューションのうち、工作機械の高精度化・省エネを支える直動技術と機械設計支援サービスについて、同社常務執行役員 産業機器統括本部 LMシステム企画開発本部長 飯田 勝也 氏に話を聞いた。

THK JIMTOF2026 飯田氏:CPSサービスの展示の前で bmt ベアリング&モーション・テック
飯田氏:CPSサービスの展示の前で

摩擦トルクと発熱を半減する高精度ボールねじ

 JIMTOF2026で披露された注目製品の一つが、「低発熱・高精度ボールねじ(形番:BPFP)」だ。工作機械メーカーから寄せられてきた「駆動トルクを下げたい」「発熱を抑えたい」「反転時の動きを安定させたい」「軸方向剛性を高めたい」という要望に応えるため、ボールと転動面の接触を見直し、余分な摩擦を低減した。

 飯田氏の説明によると、動摩擦トルクは従来品比で1/2以下、運転時の発熱も実測で約1/2に低減。摩擦トルクの変動を抑えることで、円弧補間加工などで軸の移動方向が反転する際に現れる象限突起やフリーゾーンの改善を図る。これらは加工面の品位に影響するだけでなく、機種や製造ロットごとの制御調整・組立調整を難しくする要因でもある。反転時の挙動が安定すれば、調整負担の軽減や応答性の向上も期待できる。JIMTOF2026では、既存製品のトルクとBPFP形の軽いトルクの違いを体感できるコーナーも設けられた。

 発熱低減は、ねじ軸の熱膨張に伴う位置ずれを抑え、連続加工時の精度安定化につながる。さらに、熱対策として採用される中空軸の冷却水やポンプなど周辺設備の削減にも寄与する可能性がある。摩擦が小さくなることで、従来よりも大きな予圧を設定し、軸方向剛性を高める設計も可能になる。

 BPFP形は従来品と同等の取付寸法と負荷能力を維持しており、既存機への置き換えにも対応する。新規設計だけでなく、稼働中の機械で発熱や加工精度に課題がある場合にも導入しやすい。なお、ボールねじ送り軸の消費電力低減が期待される一方、工作機械全体には主軸、油圧、空圧などもあるため、機械全体の消費電力が半減するという意味ではないものの、送り軸の負荷を減らすことが、省エネ化の着実な一手となる。
 

THK JIMTOF2026 BPFP形 bmt ベアリング&モーション・テック
低発熱・高精度ボールねじ(形番:BPFP)

 

THK JIMTOF2026 既存製品のトルクとBPFP形の軽いトルクの違いを体感できるデモ機 bmt ベアリング&モーション・テック
既存製品のトルクとBPFP形の軽いトルクの違いを体感できるデモ機

設計・解析を支援するCPSサービス

 THKが製品提供と並んで力を入れるのが、「動剛性測定サービスDYNAS」と「理論シミュレーションサービスSiMNAS」からなるCPS(サイバーフィジカルシステム)サービスだ。工作機械では、荷重に対する変形のしにくさを示す静剛性だけでなく、振動など時間的な挙動を含む動剛性が加工品質を左右する。しかし、動剛性は実機を製作して動かして初めて把握できる部分も多く、経験に依存しやすい。

 DYNASは、実機・現品の振動を測定し、周波数ごとの振動の様子を3Dで可視化する。LMガイド、ボールねじ、軸受、機械構造体のどこに改善余地があるかを検討する手掛かりとなり、設計変更の根拠を示せる。
一方のSiMNASは、構想・設計段階で直動システムをモデル化して解析するサービスだ。LMガイドのブロック長や数、予圧、形番などを変更した場合の影響を、実機試作前に評価できる。設計案の比較検討を早い段階で進めることで、試作回数や開発期間、コストの削減が期待できる。

 人員や機械系技術者が限られる中堅・中小企業にとって、こうした設計・解析支援は開発力を補完する手段となる。THKは、企画・設計段階ではCPSサービス、機械の製作段階ではLMガイドやボールねじ、量産稼働段階では設備総合効率(OEE)の最大化を目指す「OMNIedge」を提供し、ライフサイクル全体で顧客を支援する構想を描く。

THK JIMTOF2026 CPSサービス bmt ベアリング&モーション・テック
CPSサービス

製品供給から課題解決型の提案へ

 飯田氏は、直動部品そのものの性能を高めるだけでなく、顧客が抱える課題を把握し、技術とノウハウを組み合わせて解決策を提案する「ものづくりサービス業」としての同社の在り方を強調する。CPSサービスは工作機械分野に加え、半導体製造装置分野でも関心を集めており、今後は国内での展開を起点に、台湾、インド、欧州、中国など海外市場への拡大も視野に入れる。製品、設計・解析、保全をつなぐ総合的なソリューションによって、工作機械の高精度化、省エネ、開発効率向上を支えていく。