日本精工は、揺動環境下で使用される自動車向け深溝玉軸受において、耐摩耗性を向上した「揺動環境下での耐フレッチンググリース」を開発した。
耐フレッチンググリース封入の深溝玉軸受
グリース成分の配合を最適化することにより、耐熱性を確保しながら耐摩耗性を向上させた。これにより、自動車の電動化や低燃費化に伴う揺動環境において、耐久性向上に貢献する。
同社は、本製品で2022年に10億円の売上を目指す。
持続可能な社会を目指し、自動車は環境規制の強化に伴い、低燃費化や電動化が進められている。これにより、一定回転に加え、揺動環境での使用が従来以上に増えると予想されている。
揺動環境では、軸受の軌道輪と転動体間のフレッチングによる摩耗の発生、およびそれにより生じるノイズや振動が懸念される。また、自動車用途では軸受は高温環境で使用されることも多く、耐摩耗性のほか耐熱性が求められる。
開発品の特徴は以下のとおり。
1. グリース内の増ちょう剤は、金属と付着しやすいものを選定し、また基油の粘度を下げることで増ちょう剤と基油を分離しやすくした。これにより、増ちょう剤が軌道面に層を形成し、フレッチング摩耗を抑制させる
2.耐摩耗性向上のための低粘度基油の採用は、高温時の耐熱性低下という懸念をもたらしますため、高温時に耐熱性向上効果を持つ添加剤を配合することにより、従来品と同等レベルの耐熱性を維持する