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SEMICON Japan 2024

 

NTN、高効率固定式等速ジョイントを量産受注

 世界最高水準の伝達効率で自動車の燃費・電費の向上に貢献
NTN株式会社(以下、NTN)は、世界最高水準の伝達効率を持ち自動車の燃費・電費の向上に貢献する高効率固定式等速ジョイント「CFJ」を、自動車メーカー数社より量産受注した。世界最小・最軽量の固定式等速ジョイント「EBJ」の基本特性を維持しつつ、トルク損失率を50%以上低減した商品となっている。

NTN 高効率固定式等速ジョイント「CFJ」 bmt ベアリング&モーション・テック
高効率固定式等速ジョイント「CFJ」

 

 脱炭素社会化を背景に、自動車業界ではCO2排出量の削減や省燃費化・省電費化に向けた取組みが進められる中、エンジンやモータなどのパワートレインユニットの動力(トルク)をタイヤに伝えるドライブシャフトの構成部品である等速ジョイント(CVJ)に対する高効率化のニーズがこれまで以上に高まっている。

 CVJがトルクを伝達する際、内部部品のボールがケージを押す力が一方向に片寄ることで部品間に摩擦が起き、トルク損失が発生する。また、CVJの取付け角度が大きくなると、ボールがケージを押す力も大きくなり、トルク損失率は増加する。CFJは、隣り合うトラック(転動溝)を互いに傾斜させた独自の「スフェリカル・クロスグルーブ構造」により、隣り合うボールがケージを押す力の向きが交互となることで力の片寄りを抑え、トルク損失率を従来品比で50%以上低減している。また、その独自構造によりCVJの取付け角度が大きくなっても、トルク損失率の増加を大幅に抑えることが可能となっている。

 同社では今回、CFJの高効率性に加え、大きな取り付け角度におけるトルク損失率の低減が自動車メーカー数社から高く評価され、量産受注につながったもの。

 CFJは、昨今グローバルで人気のSUVや、加速度的に普及が進むEVやHEVに最適な商品。EVにおいては、大容量バッテリーの搭載や室内空間の拡大、衝突安全性などを考慮して、パワートレインユニットが車両の端に配置される傾向にあるため、CVJの取付け角度が大きくなる。大きな取付け角度においても高効率性を発揮するCFJを適用することで、車両レイアウトの自由度の向上と省電費化の両立に貢献する。

 また、EVやHEVでは、車が減速する時のエネルギーを利用してモータを回し、電力として蓄える回生ブレーキシステムが搭載されている。CFJはその独自構造により走行時と逆方向の回生トルクが入力される際のトルク損失率も低減するため、回生エネルギーによる発電効率も向上させることが可能となる。

 EBJからCFJへの置き換えによる燃費の改善効果をJAPIA LCI算出ガイドラインに基づき内燃機関車両で試算した場合、燃費は0.62%の改善、CO2排出量は0.96g/kmの削減効果が見込まれ、CO2排出量の規制が厳格化する中、こうした高い環境性能についても自動車メーカーなどから高い評価を得ている。