イグスは、少子高齢化や担い手不足が全国の祭礼で課題となる中、ユネスコ無形文化遺産「佐原の大祭」夏祭りに参加する田宿区の山車の車軸向けに、高機能樹脂製すべり軸受「イグリデュール」を提供し、操作負担の軽減に向けた技術支援を行った。採用した山車は本年7月10~12日に開催された祭礼で運行され、操作性や走行性の向上により、少人数での運行や祭礼運営の負担軽減に寄与した。

佐原の大祭は、約300年の歴史を持つユネスコ無形文化遺産で、地域住民によって受け継がれてきた伝統行事だが、近年は、全国の祭礼と同様に少子高齢化や人口減少に伴う担い手不足が課題となっており、祭りに参加する若年層は年々減少、山車の運行や維持管理を担う人材の確保が難しくなっている。特に佐原の大祭で曳き廻される山車は、高さ約8m、重量約5tにも及ぶため、方向転換には多くの人手を必要とし、車軸部分の摩耗対策や給油などの維持管理も欠かせないほか、近年は夏場の猛暑も加わって従来と同じ方法で祭りを続けていくことが困難になっている。
こうした中、イグスは田宿区の山車向けに高機能樹脂製すべり軸受イグリデュールを提供、車軸部にイグリデュールを採用した状態で3日間の祭礼運行を実施した。山車は大きなトラブルなく運行され、方向転換時の操作性や走行性についても高い評価が得られ、祭りに参加する田宿区の関係者からは「抵抗がこんなにも減るなんて驚いた」、「(イグリデュールを使用するようになって)以前よりも格段に動きやすくなった」、「革新的な技術」といった声が寄せられた。
田宿区では2018年から潤滑剤不要で軽量・摩耗に強いイグリデュールの試験導入を開始。イグスは、軸受の選定やサイズ提案、技術的なアドバイスを行い、地域の祭り関係者とともに車軸構造の検討や前輪・後輪のクリアランス調整などを進めた。試行錯誤の末、2025年7月に田宿区は山車の四つの車輪すべての車軸部へ本格導入、伝統的な山車の外観を変えることなく、大幅な操作性向上を実現した。
具体的には、イグリデュールの採用により、従来の木材と金属の車軸のみの組み合わせと比べ、山車の走行や方向転換が格段に軽く、スムーズになされた。時間当たりの走行距離は約1.5~2倍となり、これまで半日かかっていたコースを約1時間半で走行できるようになった。これにより、祭りの運営に必要な負担軽減や少人数での運行を支える環境づくりにつながった。
イグリデュールを適用した今回の取り組みを通じて、伝統的な山車の姿や文化的価値を変えることなく、運営負担の軽減や操作性向上につなげられることが確認された。実際に、田宿区での導入をきっかけに、佐原の大祭の他町内や茨城県潮来市をはじめとする周辺地域の祭礼関係者からも関心が寄せられており、導入事例は徐々に広がり始めている。
イグスでは、「少子高齢化や担い手不足は全国の祭礼に共通する課題。今回田宿区で実現した“伝統を守りながら見えない部分を改善する”という取り組みを、伝統文化の継承モデルの一つとして広く発信し、各地の祭礼や地域文化の継承に貢献していきたい」とコメントしている。


