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第8回 市村賞受賞記念フォーラムが開催

 市村清新技術財団は8月21日、東京都中央区のロイヤルパークホテルで、「市村賞受賞記念フォーラム」を開催した。

 当日はまず、市村清新技術財団 会長の中村 高氏が挨拶に立ち、「財団の設立者でリコー三愛グループの創始者である市村清は、戦後の焼け野原の中で、“日本が将来にわたって繫栄するには平和で豊かな社会の創造を目指さなくてはならない”との強い思いを抱き、そのためには創意工夫を育成し、研究開発を促進し、これを実社会に役立たせなくてはならない、との使命感を持って、1968年に新技術開発財団(2018年に50周年を機に、現財団名に変更)を設立した。本財団の活動はおかげさまで半世紀以上にわたって継続、皆様の研究開発活動の背中を押す役割を果たしてきた」と述べ、同財団の活動内容について説明した。

第8回市村賞受賞記念フォーラム 挨拶する中村会長 bmt ベアリング&モーション・テック
挨拶する中村会長


 同財団の活動としては主に、科学技術の研究開発助成(新技術開発助成、地球環境研究助成)、新技術顕彰(市村賞の贈呈、国際技術交流助成、市村賞受賞記念フォーラム)、少年少女創造性育成(市村アイデア賞贈呈、キッズ・フロンティア・ワークショップ)、植物研究助成などがある。

 このうち新技術顕彰事業である市村賞の贈呈は、市村 清氏の1963年4月29日紺綬褒章受章を記念して創設、わが国の科学技術の進歩、産業の発展に顕著な成果を上げ、産業分野あるいは学術分野の進展に多大な貢献をされた個人またはグループを表彰するもの。第8回より、従来のカテゴリーを産業の部とし、新しく学術の部を設け、第22回からそれぞれ「市村産業賞」、「市村学術賞」と名称を定めた。第51回からは地球温暖化防止・対策に関する技術分野の顕著な業績に関しては、「市村地球環境産業賞」、「市村地球環境学術賞」として表彰している。

 市村賞受賞記念フォーラムは、財団設立50周年の2018年に第1回が開催。8回目となる今回は、中村会長の開会挨拶に続く基調講演として、奈良国立大学機構 理事長の榊󠄀 裕之氏が、「理系と人文系をつなぐ学問としての工学の未来」と題して講演。文学者であり医師である森鴎外や作家であり農学者である宮沢賢治などを例に理系、文系にこだわらないという日本社会の特色について述べたのち、寺子屋以来の読み書き算盤と大学での自由七科、基礎・教養教育と専門教育の支え合い、分離・統合、理系、文系をつなぐ工学の重要性などについて語った。

第8回市村賞受賞記念フォーラム 基調講演を行う榊󠄀氏 bmt ベアリング&モーション・テック
基調講演を行う榊󠄀氏

 

 基調講演後は、2部構成による、サイエンスライターの竹内薫氏をモデレーターとした、市村賞受賞者によるパネルディスカッションが行われた。

 「第1部パネルディスカッション 第58回 市村賞 市村産業賞 市村地球環境賞」では、受賞者ダイジェスト映像が流された後、第58回市村賞 市村産業賞 本賞を受賞したLINEヤフーの「パスワードレス個人認証方式の国際標準化と商用システム開発」、市村産業賞 功績賞を受賞したTOTOの「防汚性に優れた水まわり製品を可能にするスルホン酸表面改質技術」と帝人の「小児心臓手術における再手術のリスクを減らす心・血管修復パッチ」およびリコーの「産業・工業用印刷のA to Dの普及に資するインクジェットヘッド」、市村地球環境産業賞 貢献賞を受賞したパナソニックハウジングソリューションズの「GX実現に資する高断熱窓用及び冷凍ショーケース用ガラス技術」の受賞者を代表して、LINEヤフーの五味秀仁氏、TOTOの森井勇次氏、帝人の藤永賢太郎氏、リコーの清水武司氏、パナソニックハウジングソリューションズの瓜生英氏がそれぞれ登壇し、自身が理系であるか、文系であるか、両刀使いかといった自己紹介から、製品開発において失敗からひらめき・アイデアを得た経験談、これから社会に出ていく学生たちへのアドバイスなどをまじえて、パネルディスカッションが行われた。

第8回市村賞受賞記念フォーラム 第一部パネルディスカッションの上 bmt ベアリング&モーション・テック
第8回市村賞受賞記念フォーラム 第一部パネルディスカッションの下 bmt ベアリング&モーション・テック
第1部パネルディスカッションのようす:モデレーターの竹内氏(左)と
市村産業賞受賞のパネリスト(左から、五味氏(LINEヤフー)、森井氏(TOTO)、
藤永氏(帝人)、清水氏(リコー)、瓜生氏(パナソニックハウジングソリューションズ))

 

 「第2部パネルディスカッション 第58回 市村賞 市村学術賞 市村地球環境学術賞」では、受賞者ダイジェスト映像が流された後、第58回市村賞 市村学術賞 功績賞を受賞した大阪大学の「再生医療の基盤となる幹細胞培養基材の開発」と情報・システム研究機構 国立情報学研究所の「メディアセキュリティ・フォレンジック分野における先駆的研究開発と応用展開」および東北大学の「生体親和性に優れるイオン駆動デバイスの開発と医療応用」、市村地球環境学術賞 貢献賞を受賞した東京理科大学の「ナトリウムイオン蓄電池およびカリウムイオン蓄電池の先駆的研究」について、各業績の受賞者である大阪大学の関口清俊氏、情報・システム研究機構 国立情報学研究所の越前 功氏、東北大学の西澤松彦氏、東京理科大学の駒場慎一氏がそれぞれ登壇し、自らの研究が社会実装されることや自らの研究を通じて知見・ノウハウを得るといった研究の楽しさ、自ら計画を立てて判断し行動や実行を繰り返す自律型AIシステム(AIエージェント)など利用できるものは利用しながらも研究はあくまでも人間主体で進めるべきなど、活発にパネルディスカッションが行われた。

2部のパネルディスカッション終了後には、モデレーターを務めたサイエンスライターの竹内氏が総括コメントを述べて、閉会した。

第8回市村賞受賞記念フォーラム 第二部部パネルディスカッションの上 bmt ベアリング&モーション・テック
第8回市村賞受賞記念フォーラム 第二部パネルディスカッションの下 bmt ベアリング&モーション・テック
第2部パネルディスカッションのようす:モデレーターの竹内氏(左)と
市村学術賞受賞のパネリスト(左から、越前氏(情報・システム研究機構)、
西澤氏(東北大学)、駒場氏(東京理科大学))