日本トライボロジー学会(JAST)は11月9日~11日、福井県福井市のフェニックス・プラザで、「トライボロジー会議 2022 福井」(実行委員長:福井大学・本田知己氏)を開催した。トライボロジー会議のリアル開催は3年ぶりで、会期中は630名が参加した。
今回は、「機械要素」、「潤滑剤」、「分析・評価・試験方法」、「摩耗」、「加工・製造」、「摩擦」、「表面・接触」、「表面処理・コーティング」、「バイオトライボロジー」、「流体潤滑」、「マイクロ・ナノメカニズム」、「疲労」、「境界潤滑」、「摩擦材料」、「シミュレーション」のテーマによる一般講演と、「自動車のトライボロジー技術の最前線」、「境界潤滑膜の現在と未来」、「シールにおけるトライボロジー技術」、「フラーレン添加油剤の将来展望」、「次世代教育について考える~他学協会との交流~」のテーマによるシンポジウムセッションで、全227件の発表がなされた。
初日となる9日には、新潟・富山・石川・福井の4県の大学・高専・公設試・企業に所属するトライボロジストからなる地区研究会「日本海トライボロジー研究会」の設立30周年を祝いつつ次の10年、20年へとつなげていくための記念イベントとして、「イブニングフォーラム feat.日本海トライボロジー研究会」が開催された。
また、10日には特別講演会が開催され、福井県年縞博物館 特別館長で福井県立大学 客員教授の山根一眞氏が「奇跡の湖、水月湖の年縞と年縞博物館の奮戦」と題して、また、福井大学 基盤部門 産学官連携本部 特命准教授の青柳賢英氏が「福井県製造の超小型衛星が切り拓く未来」と題して、それぞれ講演を行った。
同日に開催された「交歓会」で挨拶に立った本田知己・実行委員長は、「福井の地に皆様をお迎えして対面でお会いできたことを、熱いディスカッションが繰り広げられていることを大変うれしく思うとともに、皆様が談笑されているのを目の当たりにして“対面で開催して良かった”との思いをあらためて強くしている。現地開催を前提に講演募集を開始したものの、依然コロナ禍にある状況で、例年どおり講演件数が集まるか企業展示に参加いただけるかと懸念していたが、特に強くプッシュすることもなく、一般講演では51セッションで196件、シンポジウムセッションでは5テーマで31件の講演がなされ、企業技術・製品展示コーナーでも机上製品展示24件、資料展示10件の出展がなされ、非常に盛況裡に開催されているものと感じている。各セッションでは引き続き活発な議論を展開していただくとともに、展示コーナーでは実際の製品を見ながらの有益な商談につなげていただきたい。会期中は福井県の観光や食、お酒を楽しんでいただきつつ、久しぶりに対面開催となった温かい雰囲気での会議を是非とも満喫していただきたい」と述べた。
続いて牧野武朗JAST会長(三菱重工業)が、「久しぶりの対面開催だったが、各講演会場ともに、熱く内容の濃い議論が繰り広げられているのを実感している。対面の開催自体が初めてという若いトライボロジストも含めた皆様が、“お酒を飲んでいるときのような和やかな雰囲気でセッションを行う”という昔ながらのトライボロジー会議の伝統といった空気を楽しんでいただいていることを非常にうれしく思う。福井の良さは、散歩してみると実にいろいろな必見すべきスポットに出会うことができて、空が広く大変気持ちが良いこと。実行委員の方々のご配慮によって、今回のトライボロジー会議は、越前がに漁の解禁がなされたばかりという絶好のタイミングでの開催となった。最終日まで福井の地を堪能していただきつつ、対面での交流・議論を満喫していただきたい」と語った。
そのほか次回以降のJAST主催イベントの案内として、2023年5月29日~31日に開催予定の「トライボロジー会議 2023 春 東京」と2023年9月25日~30日に開催予定の「国際トライボロジー会議 福岡 2023(ITC Fukuoka 2023)」についての開催概要や見どころなどが、それぞれ紹介された。
会期中は「企業技術・製品展示コーナー」が設けられたほか、出展企業数社による製品PRやサービスについての企業プレゼンテーションが実施された。
展示会場にはまた、福井県の観光案内や物産品販売のコーナーが設けられた。