室町ケミカルは、水光技研、健製作所、RITA、ポリプラ・エボニックの4社とバイオディーゼル燃料の精製装置を共同開発した。フィールドテストの実施場所として西田商運が協力、実証評価とデータ収集に取り組み、耐溶剤分離膜を用いた、不純物の少ない高品質のバイオディーゼル燃料を製造する精製装置(特許出願中)を開発した。本年9月に上市を予定している。従来の「蒸留法」と比べてエネルギー消費が少なく、環境にも優しい精製法となっている。
国内では化石資源利用の低減やカーボンニュートラル化(CO2排出量削減)の観点から、使用済みの食用油(廃食用油)を原料としてバイオディーゼル燃料を製造し、軽油の代替品とする事業が数多く存在する。
この廃食用油を原料としたバイオディーゼル燃料を軽油の代替として車に使用した場合、原料由来からくる遊離脂肪酸や製造過程で発生する遊離グリセリン等の不純物が原因で、マフラーが目詰まりするなどの多くの不具合が発生し問題となっている。この問題の解決方法として、バイオディーゼル燃料の高品質化を目的とした、蒸留法による不純物の除去方法、・置があるが、燃料の蒸留という危険性や、製造能力(収率)・コスト(高エネルギーが必要)面での問題から、限定的な採用に留まっている。
今回、室町ケミカルやポリプラ・エボニックなどの5社はこれらの問題を解決する目的で開発チームを立ち上げ、従来にない画期的な方法での不純物除去に挑んだ。開発チームでは、有機溶媒中でナノろ過が可能なポリプラ・エボニックの分離膜「PURAMEM®」を用いた特殊な精製工程を経ることにより、不純物の少ない高品質のバイオディーゼル燃料を製造することに世界で初めて成功した。この精製方法は、バイオディーゼル燃料の精製処理として一般的な蒸留法と比べて、以下の特徴を実現できる。
・高品質:エステル分向上(94%→99%、※不純物除去)により、高品質なバイオディーゼル燃料を製造
・高収率:蒸留法の収率75%に対し、分離膜法では90%の高収率を実現
・安価:エネルギーコストの低減により、蒸留法と比べて安価な精製処理が可能
・安全:分離膜法では、蒸留法のように燃料を高温(数百℃)にする危険性がなく安全
開発チームでは、バイオディーゼル燃料のサンプル提供を受け、ラボ試験、パイロット試験を経て、実機装置導入を提案していく。また、バイオディーゼル燃料の精製装置や製造装置プラントについても提供することが可能としている。