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SEMICON Japan 2024

 

ジェイテクト、eAxleモーター用導電軸受を開発

 ジェイテクトは、グループ会社である光洋シーリングテクノと共同で、今後のBEV(電気自動車)の市場拡大を見据え、eAxleのモーター用軸受に導電機能を持たせた、導電軸受「JTEKT Ultra Earth BearingTM(JUEB)」を新たに開発した。eAxleの信頼性向上、さらなる小型化に貢献する。

 電動化への波は自動車だけでなく建設機械や農業機械、ドローンなどの産業機械全般に広がっており、こうした中、ジェイテクトではJUEBをまずはBEVメーカーやeAxleメーカーに提案し、将来的には国内外のあらゆる産業における電動駆動ユニット用軸受の耐電食ニーズに対応していく。2030年に6億円/年の売上を目指す。

ジェイテクト JTEKT Ultra Earth Bearing(JUEB) bmt ベアリング&モーション・テック
JTEKT Ultra Earth Bearing(JUEB)

 

 自動車の電動化が進む中、モーター、インバーター、減速機を一体化させたeAxleと呼ばれる電動駆動システムの開発・採用が急激に拡大しており、電費向上や航続距離延長など、より良いBEV実現のためには、その駆動源の心臓部であるeAxleの信頼性向上や小型化が求められている。

 インバーターで駆動するモーター用軸受においては、軸受内部に電気が流れることで、電食と呼ばれる損傷が起こることが課題となっていた。軸受に電食が発生すると、回転時の異音や軸受寿命の低下などの問題が発生し、eAxleの性能に影響を及ぼす。

 軸受の電食に対しては、従来技術として絶縁体であるセラミックボールの使用や、外輪表面への絶縁コーティング形成など、軸受を絶縁させる対策がとられていたが、それらの対策はコストが非常に高くなるという課題がある。

 また、軸受以外での電食対策も市場では実用化されており、一例として導電ブラシやアースリングと呼ばれる導電部材があるが、取り付けスペースや組付けの手間、さらにはコスト増の問題があった。

 ジェイテクトは2020年に、軸受の電食対策として従来技術よりも安価な絶縁コーティング軸受を開発したが、今回開発したJUEBは、導電による電食対策として、新開発の導電部材を軸受に内蔵することで絶縁軸受よりも安価で、導電ブラシ付軸受よりも安価かつ小型化を実現した。

 開発品の特徴は以下のとおり。
 
・耐電食性と小型化の両立:耐電食性能は、従来の市販の導電ブラシと同等以上であることが確認されているほか、軸受寸法はそのままで導電部材を軸受に内蔵することで、今まで軸受の横に取り付けられていた別体の導電ブラシの取り付けスペースが不要となり、その分モーター軸を短縮することが可能となる

ジェイテクト 小型化:6007軸受での事例 bmt ベアリング&モーション・テック
小型化:6007軸受での事例

 

ジェイテクト 耐電食性:電食が発生するまでの耐久時間 bmt ベアリング&モーション・テック
耐電食性:電食が発生するまでの耐久時間

 

・より効果的な電食対策:すでに開発済の絶縁軸受と、今回の導電軸受を適用部位によって使い分けることにより、より効果的に電食を抑制することが可能となるほか、JUEBによりモーターの筐体とシャフトを導通させることで、インバータノイズが原因となるラジオノイズ対策等にも効果が期待できる

ジェイテクト JUEBと絶縁軸受組合せの一例 bmt ベアリング&モーション・テック
JUEBと絶縁軸受組合せの一例

 

・JUEBによる軸長短縮化・軽量化によりeAxleは小型化され、バッテリー搭載位置の確保やタイヤ搭載位置の自由度向上など、BEV各パーツの搭載性が向上、それに伴いBEVの電費向上と航続距離延長に寄与する