日本精工(NSK)はコスモエネルギーホールディングスのグループ会社であるコスモエコパワーと、風力発電設備の長期安定運用および運転・保守の高度化に向けた共同の取り組みとして、複数の実証実験を推進しているが、このほどその一環として、風力発電設備向け軸受の潤滑状態を監視するNSK独自技術について、初めて実機環境で実証実験を行い、実運用に向けた適用可能性を確認した。本技術により、従来よりも早期に軸受の状態変化の把握が可能となり、風力発電設備の信頼性向上や保全の効率化への寄与が期待される。両社は今後、本技術の実用化に向けて取り組みを強化、本取り組みを通じて得られる知見を活用して顧客に新しい価値を提供し、再生可能エネルギーの安定供給とカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

風力発電は、国内の再生可能エネルギーの主力電源として位置づけられ、今後も導入拡大が見込まれる。その一方で、設備の大型化や設置環境の多様化・過酷化に加え、近年の資材価格の高騰など社会情勢の影響により、風力発電事業においては一層の競争力の向上が求められている。
こうした事業環境下で、運転開始後の運用・保守(O&M)は、事業性に大きな影響を与える領域の一つで、国の技術戦略においても風力発電の持続的な導入拡大を支える重要な要素として、O&Mの効率化・高度化やデータに基づく合理的な運用判断の必要性が示されている。
O&Mの効率化・高度化にあたり、風力発電設備に搭載される転がり軸受の状態を適切に把握し、継続的な監視・診断と、それに基づく適切な保全を行うことは不可欠となる。これは転がり軸受が、風力発電設備の増速機や主軸などに用いられ、運転を支える重要な部品であるためだが、一方で、現状のO&Mで予防保全を実施する中でも、想定外の不具合が発生した場合に、過去の事例や現場の経験に基づいて補修や部品交換の判断を行うケースも少なくない。そのため、設備の状態やリスクを客観的かつ定量的に把握し、運転継続や保全方針の判断精度を向上させる仕組みの高度化が求められていた。
これらの課題に対し、NSKとコスモエコパワーは、長期安定運用と高い稼働率の確保に貢献する新たなO&M手法の実証に取り組んでおり、その一環として今回、コスモエコパワーが運営する風力発電設備において、軸受の潤滑状態を監視する技術の実証実験を初めて実機環境で実施し、実運用に向けた適用可能性を確認した。
本技術はNSKが開発した独自技術で、コスモエコパワーが風力発電設備の運用・保守を通じて培ってきた現場知見と、NSKが開発してきた状態監視・診断技術を組み合わせて、本技術の実用化に向けた検証を行っている。検証においては、従来の状態監視では捉えることが困難だった軸受の潤滑状態の変化を検知できることを確認。これにより、振動などから軸受の状態変化を推定する従来の手法と比較して、より早い段階から保全対応の検討が可能になる。
両社は、今後も本技術の実用化に向けた評価を進め、設備で使用される潤滑剤の交換周期の最適化や、設備点検・補修の効率化を図る。また、さらなる展開として、軸受の状態変化を設備稼働へ影響しうるリスクとして定量的に捉えるための余寿命予測技術の検証も進めている。
両社はこれらの実証実験を進めることで、風力発電設備の高い稼働率の確保、ライフサイクルコストの低減、環境負荷の低減といった新たな価値の提供を目指す。


