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木村洋行、ローラースクリューを用いた電動アクチュエータと超薄型ボールベアリングの 加工分野での適用を拡大

ローラースクリュー

概要と特長

 木村洋行(https://premium.ipros.jp/kimurayoko/)では、2020年1月からEWELLIX(エバリックス)社の直動製品の取り扱いを開始している。エバリックスは、アプリケーションごとのニーズに合わせたカスタマイズのソリューションに定評がある直動製品メーカーで、本年1月にSchaeffler(シェフラー)社の傘下となり、かねてから進めてきたセンサーおよびコントローラー関連の研究開発を加速させている。

 エバリックス独自の直動製品の一つに、「ローラースクリュー」がある。ボールを転動体とするボールねじが点接触で運動するのに対し、ローラーを転動体とするローラースクリューは面接触で運動するため、ボールねじに比べ①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、といった特長を持つ。

 図1(a)は、𝐿10寿命計算に使われる基本動定格荷重(一群の同じ製品を運転した時に、その内の 90%がはく離を起こさずに回転できる寿命が100万回転になるような軸方向荷重、Ca)の比較だが、図1(a)からは例えば同じ軸径φラースクリューの基本動定格荷重は130kN程度と、より大きな荷重が受けられることが分かる。

 このことから図1(b)に示すとおり、同じ基本動定格荷重で見ると、高負荷容量ボールねじに比べエバリックスのローラースクリューは、ナットの長さを約3〜4割短縮できる。これは、ナットのダウンサイジングによる省スペース化が図れ、装置をコンパクト化できることを意味する。

 また、ボールねじなどの軸方向荷重としては一般的に、メーカーは基本動定格荷重の30%以下で使用することを推奨している。この値が許容荷重で、図1(c)は、エバリックスのローラースクリューが面接触により面圧を分散できるため、同じ軸径で比較すると、高負荷容量ボールねじの約3.3倍の許容荷重を有すること、つまり、はるかに高い耐荷重能力を持つことを示している。

 こうしたことからローラースクリューでは、同等の基本動定格荷重であればボールねじに比べ軸径の小さな製品にダウンサイジングでき、重量を大幅に軽くすることで、慣性モーメント(イナーシャ)も大幅に小さくできる(図2)。

 エバリックスのローラースクリューのシリーズとしては、大別して遊星型と循環型があるが、ここでは遊星型ローラースクリュー「SR」と、それを用いた電動アクチュエータ「CEMC」の概要について、さらにはCEMCの加工分野における適用例について紹介する。
 

木村洋行 図1 エバリックス ローラースクリュー vs. 重荷重用ボールねじ(リード10mmで比較) bmt ベアリング&モーション・テック
図1 エバリックス ローラースクリュー vs. 重荷重用ボールねじ(リード10mmで比較)

 

木村洋行 図2 同等の基本動定格荷重のボールねじからのダウンサイジングの効果 bmt ベアリング&モーション・テック
図2 同等の基本動定格荷重のボールねじからのダウンサイジングの効果

 

遊星型ローラースクリュー

 遊星型ローラースクリュー「SR」は、ねじ軸と、ねじ軸の周りに、ガイドで固定してそれぞれが非接触で配置された、両先端にギヤを切り本体には螺旋ねじを持つローラー、ローラー先端のギヤが噛み合う内歯車(ギヤリング:toothed ring)、ローラーの螺旋ねじと同じ角度の螺旋溝を内側に施したナットなどから構成される(図3)。

 ねじ軸の回転とともに各ローラーは、先端のギヤがギヤリングと噛み合いながら軸の周りを遊星運動で回転、これによってナットの直線運動へと変換される。

 遊星型ローラースクリューの特長としては、転がり接触によって低摩擦で、耐荷重能力が高く、循環型ローラースクリューのような循環機構を必要とせず、また衝撃荷重・振動を受けないため高速・高加速が要求されるアプリケーションに適していること、などが挙げられる。ローラー先端のギヤとギヤリングとの噛み合いによって、ボールねじで見られるような高加速の際の滑りも起こらない。
 

木村洋行 図3 遊星型ローラースクリューの構造 bmt ベアリング&モーション・テック
図3 遊星型ローラースクリューの構造

 

遊星型ローラースクリューを用いた高性能アクチュエータ

 電動アクチュエータ「CEMC」は、中空シャフトモーターのシャフトに上述の遊星型ローラースクリューを用いている(図4図5)。このためCEMCは、ローラースクリューの特長である①高荷重の支持、②長寿命、③高剛性、を実現する。コンパクトで高推力を図りつつ、イナーシャを最小化することによって制御性・応答性が良好で、サイクルタイムを劇的に改善し高い生産性を実現できる。
 
 

木村洋行 図4 CEMCの外観:1.給油ニップル 2.プッシュチューブ 3.アンギュラ玉軸受 4.遊星型ローラースクリュー 5.中空シャフトサーボモーター 6.モーター用コネクター 7.フェールセーフ用ブレーキオプション 8.位置フィードバックオプション 9.防塵用スクレーパーシール bmt ベアリング&モーション・テック
図4 CEMCの外観:1.給油ニップル 2.プッシュチューブ 3.アンギュラ玉軸受 4.遊星型ローラースクリュー 5.中空シャフトサーボモーター 6.モーター用コネクター 7.フェールセーフ用ブレーキオプション 8.位置フィードバックオプション 9.防塵用スクレーパーシール

 

木村洋行 図5 CEMCの構造 bmt ベアリング&モーション・テック
図5 CEMCの構造

 

加工分野での適用事例

 ローラースクリューを用いた電動アクチュエータは、スポット溶接ロボットや樹脂を押し出す射出成形機やブロー成形機、金属加工に用いるサーボプレス機など、高荷重がかかる用途で多くの実績を持つ。スポット溶接ロボットではXタイプのガンフレームとCタイプのガンフレームで採用されていて、Xタイプガンフレーム(図6)では、溶接するワークを挟む機構として二つのガンアームを最大ストローク180mmで駆動させ、スポット溶接ガンの加圧力(~25kN)を保持する。また、Cタイプガンフレームでは、一つのガンアームをXタイプよりも高速に、最大ストローク300mmで駆動させ、スポット溶接ガンの加圧力(~15kN)を保持する。

 ボールねじを大径にしないと高推力を発生できず、装置内で大径ボールねじのスペースが確保できないような場合に、ローラースクリューとそれを用いた電動アクチュエータでは、ダウンサイジングによる省スペース化が可能となる。

 一方、高推力が必要とされる際に多用されてきた油圧アクチュエータから、CEMCなどのローラースクリューを用いた電動アクチュエータへと置き替えることによって、制御性や分解能を向上でき、必要とされるエネルギーを大幅に削減できるほか、油圧作動油の管理といったメンテナンスコストが削減できるなど、生産コストの低減と生産効率の向上に寄与できる。
 

木村洋行 図6 スポット溶接ロボットⅩタイプガンフレームでの適用例 bmt ベアリング&モーション・テック
図6 スポット溶接ロボットⅩタイプガンフレームでの適用例


超薄型ボールベアリング

概要と特長

 木村洋行は長年にわたり、1950年代に世界で初めて超薄型ボールベアリング「Reali-Slimシリーズ」(図7)を開発し、量産を開始した唯一の専門メーカーKAYDON(ケイドン)社の日本総代理店を務めている。ケイドンは現在、SKFグループ企業として、あらゆる用途に応じたカスタムベアリングの開発も手掛けている

 

木村洋行 図7 内径が大きくなっても断面サイズが一定のケイドン超薄型ボールベアリング bmt ベアリング&モーション・テック
図7 内径が大きくなっても断面サイズが一定の
ケイドン超薄型ボールベアリング

 

 ケイドン超薄型ボールベアリングの最大の特長としては、断面が超薄型のため装置に占めるベアリングのスペースを最小化でき、装置全体の省スペース・軽量化が図れ、設計の自由度が向上する点が挙げられる。一般的なISO規格・JIS規格のベアリングでは内径が大きくなるのに比例して断面サイズも大きくなるのに対し、ケイドン超薄型ベアリングは断面サイズでシリーズ化されており、図7に示すとおり、内径が大きくなっても同じシリーズ内であれば断面サイズは変わらない。

 ケイドン超薄型ボールベアリングには、ラジアル荷重を受ける深溝型(Type-C)と、通常は2列以上の複列で用いてラジアル荷重、アキシアル荷重とモーメント荷重の複合荷重を同時に支えることができるアンギュラコンタクト型(Type-A)、この複合荷重を単列のベアリングのみで受けられる4点接触型(Type-X)がある。特に、複合荷重を受けられる4点接触型を使用することで大口径中空シャフトへの置き換えが可能になるだけでなく、単列仕様にできるため軸方向の長さをさらに短縮できる。気体・液体の配管類、電気配線やスリップリングなどを中空シャフト内に収納可能など、フレキシブルで効率的なデザインにできる。

 

加工分野での適用事例

 ケイドン超薄型ベアリングは内径が大きくなっても断面サイズが超薄型なことから、工作機械でも省スペース設計が可能で、外輪に歯切りした大口径ターンテーブル用ベアリングや、ツールチェンジャー用ベアリングなどに採用され、装置の省スペース設計のほか軽量化による消費電力の低減にも寄与している。
 工作機械でも砥石がワークの外周側を回転する用途では、砥石を支持するベアリングの内径を大きくしつつ外径寸法を抑える必要がある。このような用途では、ケイドン超薄型ボールベアリングの使用が有効な解決策となる。

 

今後の展開

 ものづくり現場での自動化・ロボット化が進展し効率向上からメンテナンス期間延長などが求められる中で、耐久性が高いエバリックスの電動アクチュエータの採用が進んできている。また、装置の省スペース設計が可能な点からは、エバリックスのローラースクリューやケイドンの超薄型ベアリングが注目されてきている。いずれも高い負荷容量、長寿命化を実現しつつ、サイズダウン化でき軽量化が図れることからは、装置の消費電力の低減、ひいてはCO2削減にも寄与できる。

 シェフラーグループの一員として万全の開発バックアップ体制のもと、エバリックスでは近年進めてきたセンサーやコントローラーの研究開発が加速してきており、伝送速度が速く拡張性の高いコントローラー・エリア・ネットワーク(CAN)バス通信規格に対応した製品が投入されてきている。CANバス通信規格に対応したスマート電動アクチュエータ「CAHB-2xS(2xSのラインナップ:20S、21S、22S)」は、素早く滑らかな動作を実現できるため、より高い生産性を実現できる。高荷重条件で使われ近年IoT化の進む建設機械の荷台駆動などで素早く角度を変えるといった、屋外における適用も拡大してきている(図8)。

 木村洋行では、このように製品・技術・アプリケーション情報のアップデートを常に図っている。製品・技術・アプリケーションに関する知見とノウハウを蓄積しつつ、ユーザーとの対話の中でニーズを的確にとらえることで、さまざまな用途に合わせてカスタマイズが可能なエバリックス製品とケイドン製品の特質を生かした、ユーザーの仕様に最適なソリューションを提供していく。同社ではまた、従来から実施している、機械を正常に稼働させるための総合的な技術的サポートについても引き続き注力していく考えだ。
 
 

木村洋行 図8  CAHB-2xSの建設機械での適用例 bmt ベアリング&モーション・テック
図8  CAHB-2xSの建設機械での適用例