THK技術本部 事業開発統括部長で技術士(機械部門)の望月廣昭氏による単行本『小集団から始める技術経営 ―企業内イノベーションの実践書―』が、11月10日に当社より発刊された。A5判、 116頁で価格は1650円(税込)。アマゾンから購入できる。表紙・本文中のイラストはいずれも、同社マーケティングPR部 部長の中川 透氏が手掛けている。
著者は、コア技術をベースに用途開発、新規分野への展開として新たな市場に製品を開発して市場開拓することを主軸に、ビジネス展開を進めてきた。しかし、VUCA時代と言われているように不確実性、不透明性が高まり、新たなモノ・コトを生み出せない、生み出しても事業にならないといった、ジレンマを掲げる中で、イントレプレナー(社内起業家)としての意識を持って本質的な目的に立ち戻り、新規市場・顧客の探索/開拓/展開、価値創造プロセスの仕組みづくり、イノベーション人財育成を試行錯誤しながら実践してきた。
著者はまた、複数事案のプロジェクトを統括してきた経験や成果、およびこれらの考え方を展開すべく、企業内イノベーションの推進活動を邁進してきた。さらにこの活動を社内全体に浸透させていくには、企業内イノベーションに関する考え方、知見、ノウハウを解説書にすることが必要ではないかと考えるに至った。
今後、企業の持続的成長や一人ひとりにとってのwell-beingを目的にサステナビリティ、SDGsの推進が不可欠となり、また、DX、GXなどと絡めて社会・顧客課題を解決していくことが求められる中で、本書は、著者の上述の考え方や人財育成、組織変革、最適プロセス開発、パーパス経営、MOT(技術経営)、新規事業におけるイノベーション活動のヒントになるべく執筆、刊行されたもの。
著者は2018年に、30代・40代の悩めるエンジニアに向けた著書『技術士の目指すところは何か」を第一弾として出版。同書は、企業内エンジニアが、挫折や悩みを抱えた時に、いかにモチベーションを維持していくか、また目的・目標を定めながら使命感・責任感を持って自己スキルをどのように広げて極めていくか、のヒントを書き留めた著書だった。
著者の第二弾となる本書では、著者が技術経営コンサルタント兼イントレプレナーの視点で新規事業の価値創出を実践し、失敗や成功の体験を積み重ねてきた考え方やプロセス、アセスメント、仕組みづくり、人財育成などの暗黙知を形式知にまとめた。内容は以下のとおり。
第1章 イノベーションの定義
1.1 イノベーション理論を提唱した「シュンペーター」
1.2 サム・パルサミーノ氏報告 Innovate America
1.3 企業にとってのイノベーション
1.4 クリステンセン氏のイノベーション
1.5 イノベーションの総括
第2章 ウェルビーイングとパーパス
第3章 課題発見・問題提起
3.1 社会・環境課題(中長期的な課題)
3.2 顧客課題(短期的な課題)
3.3 企業課題(短期的/中期的/長期的/持続的な課題)
第4章 企業内イノベーションの始め方
4.1 動機
4.2 アプローチ方法
第5章 価値創出の本質的な目的とゴール設定
5.1 本質的な目的
5.2 ゴール設定や出口戦略
5.3 ネバーギブアップ
第6章 価値創出の3条件
6.1 人間
6.2 組織
6.3 プロセス
第7章 戦略思考と戦術思考のツール
7.1 戦略思考ツール
7.2 戦術思考ツール
第8章 経営者視点
第9章 マネージャー視点
第10章 起業家視点
10.1 イントレプレナー(社内起業家)とは
10.2 イントレプレナーシップ(起業家精神)
10.3 イントレプレナー人財に必要なスキルと資質
第11章 探索活動
11.1 探索活動の流れ
11.2 イノベーションマネジメントシステムISO56002;2019の活用
11.3 事例A(顧客と一緒に課題解決)
11.4 事例B(社会課題解決)
11.5 事例C(SDGs、DX推進による社会課題解決)
11.6 事例D(発明、研究から製品化を目指す⇒活動中止)
11.7 新規事業の位置づけ
第12章 深化活動
12.1 市場浸透、顧客浸透
12.2 市場領域の拡大と新製品開発
第13章 用語の解説
第14章 技術経営に関する課題
14.1 AI、IoT、DX、VUCA時代、社会大変革期のR&D戦略
14.2 イノベーション創出のための仕組みとマネジメント
14.3 人、組織、風土とCTOの役割
14.4 トピックスその他.................................................... 110
望月廣昭(もちづき・ひろあき)
1963年4月 山梨県生まれ
1986年4月 THK株式会社入社
リニアモーションの設計・開発、新技術リテーナ入りLMガイド開発(精密工学会技術賞)、マネージメントに従事
2009年7月 クリエイティブプロデューサーとして新規事業開発(航空機市場開拓)に従事
2010年3月 技術士(機械部門)取得
2014年6月 技術本部 事業開発統括部長就任
2018年9月 新規分野への市場開拓、事業拡大に従事
2018年10月 著書『技術者の目指すところは何か』発刊
・専門分野
VE、信頼性設計、プロジェクトマネージメント、機械要素部品の設計、ビジネスプラン、商品企画、マーケティング、コーチング、創造開発、航空機ビジネス