NTNは、産業用ロボットや工作機械、半導体製造装置などに幅広く使用されているサーボモーター用の軸受として、軸受からの発塵(軸受内部で使用されているグリースの油分が蒸発、あるいは飛沫となり軸受外部へ漏れ出したもの)と回転トルクを大幅に低減した「サーボモーター用低発塵軸受」について、大手モーターメーカー向けの量産を開始した。


サーボモーターは、回転検出器(センサーやエンコーダー)とブレーキを搭載し、回転速度や角度を高精度に制御できるため、産業用ロボットや工作機械など精密な動作が求められる産業機械に使用されている。しかし、軸受に使用されるグリースの油分などの発塵物がエンコーダーに付着すると検出精度が低下するほか、ブレーキディスクに付着すると制動性に支障が出ることもあり、サーボモーター用軸受にはこれらの発塵を抑制することが求められてきた。
同社が開発したサーボモーター用低発塵軸受は、成分や配合を見直すことで発塵の発生を大幅に抑制することに成功した新開発の低発塵グリースと、密封性を向上させた新設計のシールを採用することで、軸受からの発塵量を従来品比で約90%低減している。
また、新設計のシールは形状の改良により、密封性を維持しつつ、従来品比で約50%の低トルク化を実現している。

発塵の大幅な抑制によるサーボモーターの制御の信頼性向上に加え、回転トルクを抑えたまま長時間にわたり安定して使用できる高い耐久性が評価され、今回大手モーターメーカーに採用されて、量産開始に至ったもの。
サーボモーターは、高精度な回転制御が行えるため、近年は産業用ロボットや工作機械を中心に需要が増加している。産業用ロボットや人型ロボットに使用されるサーボモーターは、関節部の駆動用途が多く、関節部の軸速度や加速度を高めるために小型化、高出力化が求められている。
開発品は軸受からの発塵を大幅に抑制できるため、サーボモーターの密封装置が不要となり小型化を図れるとともに、低トルク化によるサーボモーターの高出力化にも貢献することが可能となる。
NTNでは、「今後も本商品や工作機械用のサーボモーター向けに高速回転対応と低振動化を実現する「高速サーボモーター用深溝玉軸受」などの高付加価値商品の提案を進め、サーボモーターのさらなる性能向上に貢献していく」とコメントしている。