日本トライボロジー学会(JAST)は、日本精工(NSK)の「電動射出成形機用ボールねじ 耐久試験機1号機」のトライボロジー技術の発展への貢献を認め、「トライボロジー遺産 第18号」に認定した。本耐久試験機は、神奈川県藤沢市のNSK桐原事業所内 直動技術センターで公開されている。
トライボロジー遺産は、科学と技術の発展の歴史において重要な貢献をしたトライボロジー(摩擦・摩耗・潤滑の科学技術)に関係する技術や事物を発掘し保存するために認定し、情報発信と顕彰を行うことを目的とした賞で、本遺産の第1号には、NSKの転がり軸受第1号設計図が認定されている。
射出成形機の樹脂を押し出す送り駆動は、重荷重を受けるため油圧駆動の使用が一般的だったが、1980年代以降は省エネや環境保護の面から電動化のニーズが高まっていった。さらに、樹脂を押し出す際の制御や操作性の良さや、メンテナンスの簡易性に優れることも、射出成形機の油圧駆動から電動化への動きを加速させた。
電動射出成型機の送り駆動に使われるボールねじは、極めて大きな荷重を受け、さらに小ストローク運転で使用されるため、潤滑も含め、ボールねじの耐久性が課題だった。今回トライボロジー遺産に認定された本試験機は、ボールねじの耐久性向上を図るために1990年に製作したもので、試作品の評価から改良までが行えるようになり、その後の電動射出成形機の性能向上および産業機械の電動化の発展に貢献した。