ジェイテクトは、トルクの低減と極寒冷地でも高い密封性を実現するシールを採用したハブユニットを開発した。日本国内をはじめ極寒冷地を含むグローバル市場で自動車メーカーへの提案・適用を進め、2025年に25億円/年の売上を目指す。同社では、開発したハブユニットの適用拡大を通じて、低炭素社会の実現へ貢献していく。
近年、自動車をはじめとするものづくり産業を取り巻く環境は、カーボンニュートラルの達成に向けエネルギーのさらなる低損失化が求められている。そうした中で、自動車のホイールを支えるハブユニットの低トルク化技術は、燃費に直結する必要不可欠な技術となっている。
ハブユニットで発生するトルクの約半分を占めるシールの材料としてはニトリルゴムが使われるが、低摩擦とゴム物性(強度・耐熱性・耐摩耗性など)がトレードオフの関係にあり、これらの両立が課題となっていた。
また、ニトリルゴムは通常、耐油性、耐摩耗性、引き裂き強度に優れる一方で、耐寒性が他のゴムより劣る性質がある。
市場のグローバル化が進み、従来よりも過酷な環境でハブユニットが使われることが想定されることから、同社ではシール用ゴム材の使用可能温度範囲を拡大することを重要課題として、新しいゴム材の開発を進めていたが、今回、低トルクで耐寒性に優れるシール用ゴム材の開発に成功したもの。
本ゴム材をハブユニットのシールに適用することで、シールトルクを10%低減できる。また、-40°C以下の極寒環境下でもゴムが弾性を失わないため、シールの密封性を維持でき北米やロシアなどの極寒冷地でもハブユニット内部への泥水浸入を防止できる。
開発したゴム材を使ったシールはハブユニットに限らず活用可能なことから、同社では、その他の自動車部品を含む各種産業向けの軸受用シールへの適用を模索し、拡大に努めていく。
同社では、開発したゴム材によってSDGs の各種目標(7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに、9.産業と技術革新の基盤をつくろう、12.つくる責任つかう責任)に貢献できるとして、同ゴム材製のシールを採用した軸受の拡販を通じて、ものづくり産業での低炭素社会の実現へ貢献していきたい考えだ。