ジェイテクトのグループ会社であるダイベアは、NRRO(回転に同期しない振れ)の低減と低昇温を実現した低NRROシリーズを開発し、超高精度軸受「PRECILENCE®」のラインナップに追加した。開発品は、超精密加工機など工作機械の主軸用に適している。本年11月からダイベア和泉工場で量産を開始、2025年に1億円の売上を目指す。
近年、工作機械はより高い加工精度や加工効率が求められており、主軸回転の高速化とともに、微細加工機などの超高精度加工領域の機械では加工面の品位が重要視されている。それらを満たすため、主軸用軸受には、加工面の品位に影響するNRROの低減と、高速回転時における主軸の熱変位の抑制について、工作機械のメーカーとユーザーから強いニーズがあり、今回の開発に至ったもの。
開発品では軸受構成部品の設計を最適化するとともに、構成部品(内輪、外輪、玉、保持器)加工の高精度化を図り、低速から高速回転領域までの広い範囲で低NRROを実現するとともに、外輪昇温を30%低減した。また、dmn(軸受ピッチ円直径(mm)×回転速度(min-1))300万までの対応を可能としている。
加工機の主軸に搭載することでの期待される効果としては、以下が挙げられる。
1.工作物に対する工具の刃当りのばらつきが小さくなることにより、高精度での加工が可能なほか、加工面の品位が向上(小径工具を高速回転で使用の場合は大きな効果が期待できる)
2.軸受の低昇温化により主軸の熱変位を抑制し加工精度が向上
3.金型加工においては、加工面の粗さが小さくなるため、加工後の手仕上げ時間短縮が期待できる。
また、今回の開発品を通じて貢献可能なSDGsの目標としてジェイテクトでは、「9.強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る」と「12.持続可能な消費と生産のパターンを確保する」を挙げている。