SEMIは12月13日、 12月14日~16日に東京ビックサイトで開催されるエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2022」(https://www.semiconjapan.org/jp)の各種イベントのハイライト・見どころを紹介する記者会見を開いた。当日はまた、半導体製造装置・材料の市場予測についても発表がなされた。
まず開会の挨拶に立ったSEMIジャパン 代表取締役の浜島雅彦氏は、「今年のテーマは現状にふさわしい『未来を変える。未来が変わる。』。半導体を基盤とするデジタルの力で課題を解決し、未来を切り開こうとする同産業のダイナミズムを実感いただける場を目指したこのスローガンのもと、新型コロナウイルスへの万全の対策を施しつつ、会期の3日間、盛大にイベントを実施していきたい」と語った。
また、SEMICON Japan 2022 推進委員会委員長(アドバンテスト 経営執行役員 CCRO (Chief Customer Relations Officer) 営業本部長)の阪本公哉氏は「エネルギー問題、気候変動など、人類が世界規模の様々な問題に直面する中で、デジタルの力による課題解決が急務となっており、こうしたデジタルイノベーションの基幹技術となる半導体の存在は、ますます重要性を増してきている。本展では半導体の現在と同時に未来を提示することで、世界の未来を感じてもらえるイベントを目指す。今回は展示会場がソールドアウトとなりフルサイズでの開催となる。人と人とが直接触れ合い、会話を交わしながらビジネスを進めるという、展示会開催の意義を出展社と来場者の相互に強く実感していただけると確信している。半導体需要の拡大により半導体工場の設備投資は活況を呈しているものの、SDGsや地政学的な影響を含め、半導体サプライチェーンは様々な課題に直面している。半導体製造装置・材料のサプライチェーンで世界の4割を占める日本企業への関心は一層高まっており、国内外からの多くの方々の来場を期待している。グローバルな半導体産業の大きな課題の一つが、今後の発展を担う人材の確保であり、今回、大学の研究室の研究を後押しする狙いから、表彰制度『アカデミアAward』を初開催する。こうした学生向けの取組みを強化することで、人材開発活動に継続して注力していく。たくさんの方々とリアル会場でお会いできることを心待ちにしている」と述べた。
続いて、SEMIジャパン・浜島氏より、「SEMICON Japan 2022」のハイライト紹介があった。
オープニングキーノートパネルで、衆議院議員で半導体戦略推進議員連盟 会長の甘利 明氏やRapidus社長の小池淳義氏らが登壇し、次世代半導体戦略を語る。
SEMICON Japanの最終日をかざるグランドフィナーレパネルでソニー、TSMC、東京エレクトロンなどが、サプライチェーンが協調して取り組むべき人材戦略などの課題について語る。
また、NTT会長の澤田 純氏のキーノートでは研究開発を進めているIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を通じて実現が望まれる社会について提起する。
さらに、アカデミア出展の研究室の未来に向かう研究を表彰することで一層の発展を後押しする「アカデミアAward」を初開催する。
半導体パッケージングおよび実装分野の最新技術の展示と、国内外キーパーソンによる講演、ネットワーキング・イベントを組み合わせた初開催となる大型イベント「APCS(Advanced Packaging and Chiplet Summit)」(https://www.semiconjapan.org/jp/apcs)がある。産業界から熱い注目の集まる次世代の半導体パッケージングやチップレット、基板実装の最新技術を網羅したイベントを創設することで、世界をリードする日本の半導体産業のさらなる成長に貢献する。
また、軽く・薄く・曲がるフレキシブルエレクトロニクスとリジッドなシリコン半導体のハイブリッド技術とその応用を展示する「FLEX Japan 2022」(https://www.semiconjapan.org/jp/flex-japan)が設けられる。
さらに、最新の電動車両を構成する電装品やECU(電子制御ユニット)の進化が分かる分解展示ブースで、テスラの「モデル3」を中心に最新EVの電装品を比較できる形で展示する「第5回 SEMI Smart Mobility パビリオン」や、量子コンピュータ業界と半導体業界のコラボレーションの土台作りとして、半導体業界の方々に量子コンピューティングの業界、技術、製品、企業を紹介する「第3回量子コンピューティングパビリオン」、注目されるSiC、GaNなどの化合物半導体製造技術を展示する「第5回パワー・化合物半導体パビリオン」、航空機産業で培った先端技術の半導体製造装置への応用を提案する「航空機サプライヤーパビリオン」なども、見どころだ。
そのほか、若手の動員を促す目的で、フォロワー100万人超のフリースタイルピアニストYoutuberによる生演奏や、半導体の進化がe-sportsにどのような影響を与えたのかをプロのe-sportsプレイヤーの対戦プレイを見ながら考える体験型セッション、さらにはYouTuber「ものづくり太郎チャンネル」とのコラボレーション企画などの「Special Contents」も用意されている。
記者会見ではそのほか、SEMI市場調査統計部門 アナリストのInna Skvortsova氏が半導体製造装置・材料の市場予測について発表した。半導体製造装置の世界販売額が、過去最高だった2021年の1025億ドルから2022年には5.9%増の1085億ドルと3年連続での記録更新となったことや、2023年は前工程、後工程の両分野で装置販売額が縮小する見込みであるものの、2024年には成長回復することなどを予測。地政学的な影響やインフレ圧力、エネルギー価格の上昇といった懸念材料はあるものの、長期的には成長が見込まれるとした。