日本工作機器工業会は1月15日、東京都千代田区の東京會舘で、「2025年 年始会」を開催した。
当日は寺町彰博会長(THK会長)が、2024年度の同工業会会員企業の販売額が、昨年春の段階で予想していた前年同期比2.3%増の1800億円超えの見込みに対し、中国経済の減速20.3%減の1660億円程度となる見通しであることを報告しつつ、「経済が回復基調にあることから今後上方修正できること期待している」と述べた。
寺町会長はまた、「①地政学的リスクの拡大、②社会主義国家vs資本主義国家、新興国vs先進国という従来の東西南北構造の近年の地殻変動(社会主義国家の拡大や先進国の低成長など)、③AI・ロボットの進展が人とのかかわりあいの中でどう変わっていくのかということ、といった変革の中で我々はどう生きていくべきかが問われている。我々のビジネスで言えば北側のビジネスを拡大することはもちろん、南側のビジネスをしっかりと固めていく必要がある。我々はこのような状況に置かれている。2025年は明るい要素が出てきているので、各自しっかりと汲み取って新たな開発を行い新たな産業に踏み込んで、新たな国々においてビジネスを獲得していただきたい。それにあたっては日本の現況を把握する必要がある。IMD(国際経営開発研究所)が発表した『世界競争力年鑑』によると67カ国・地域のうち2024年版での日本の競争力順位は38位と、前年の35位から順位を落としアジア・太平洋地域でも11位(14カ国、地域中)となっている。一人当たりのGDPも35位から39位とランクダウン、さらに驚くべきはOECD38カ国のうち、日本は22位、アジアで7番目に沈んでいる。我々工作機器のユーザーである主要な産業であるロボットの使用率を見ても、かつてロボット大国と言われロボットのリーディングメーカーを抱えロボットの使用率でも世界有数の国だった日本は、しかしながら現在、従業員1万人当たりのロボットの使用台数は400台弱で停滞している。一方、第一位の韓国は、1000数十台と日本の2.5倍程度ロボットが使用されている。日本は、韓国、シンガポール、ドイツに次ぐ4位に位置しているが、2024年の見通しでは5位にいた中国に抜かれ、中国はドイツと日本を抜いて3位に躍進する。あれだけ多くの人口を抱える中国がロボットを多用するのは必然で、そうした成長マーケットではさまざまな産業が伸びていくことになる。日本が再びロボットを多用して、人手不足が叫ばれる現場の課題を解決しなくてはならない中で、ロボットの使用率が低いという現状を大きな課題と認識した上で取り組みを進めるべき。このように化粧されていない真の日本の姿を知ることで、我々がなすべきことが見えてくると思う。当工業会も、こうした状況に即応できるよう取り組みを進めていきたい」と語った。
寺町会長からは、日本工作機器工業会が本年設立70周年を迎えることから、70周年記念行事を本年5月に東京會舘で盛大に行う予定であることが報告された。
挨拶する寺町会長