NTNは、軸受そのものが設備状態を伝えるセンシング機能付き軸受「しゃべる軸受®」について、商品化に向けた検証を進めている。「しゃべる軸受®」は、軸受内部にセンサーや無線通信機能を搭載し、既存設備の状態をリアルタイムで把握できる。同社では、製造業やプラント、インフラ設備の維持管理を行う事業者での評価を通じて有効性や運用性が確認しており、早期の商品化を目指す。

近年、製造現場では人材不足や熟練技術者の減少が課題となっており、設備の安定稼働や保全業務の効率化へのニーズが高まっている。そのため、設備の異常を早期に検知し、故障を未然に防ぐ状態監視技術が注目を集めている。NTNはこれまで培ってきた設備診断や予知保全技術の適用拡大を目指し、既存軸受と交換するだけで高度な状態監視を可能にする「しゃべる軸受®」の開発を進めている。
しゃべる軸受®は、軸受内部に振動・温度・回転速度センサー、発電機、無線通信デバイスを組み込んだセンシング機能付き軸受。標準軸受と同等サイズで、電源や通信のための配線も不要なため、既存設備の設計変更や大掛かりな改造を行うことなく導入できる。軸受や設備の振動、軸受内部の温度をリアルタイムに取得し、設備の異常の兆候を早期に把握することで、設備停止リスクの低減や保全業務の効率化・省人化に貢献する。
NTNでは、2022年の開発発表以降、ユーザーからの評価やご意見をもとに改良を重ねてきた。
小型サイズを含む対応軸受サイズの拡大に加え、耐熱性能の向上、通信機能の改善、製造現場に設置しやすいデータ収集デバイスの開発や複数設備の同時監視・遠隔監視への対応など、取得データの可視化・活用機能を強化し、実際の設備運用を見据えた機能向上を進めている。
これまでのテストマーケティングでは、モーターやポンプ、ファン、ギヤボックスなどを対象に評価を実施しており、ユーザーからは「既存設備に容易に適用できる」「状態監視データを手軽に取得・活用できる」といった評価を得ている。また、一部の評価先では、設備のオーバーホール周期を従来の2倍以上に延長し、年間の保全費用を半分以下に削減できた事例も確認している。今後はさらに多様な設備や使用環境で評価を進め、実用化に向けた検証を進めていく