日本滑り軸受標準化協議会(PBSA)は3月26日、東京都千代田区の学士会館で「2018年度 第2回総会(通算 第28回総会)」を開催した。
開催のようす
当日は、最初に挨拶に立った林洋一郎PBSA会長(オイレス工業)が、「総会において、これまでと違う切り口のテーマや産業全般のテーマの話題提供をお願いしようという観点から、天然液化ガス(LNG)などエネルギー関係の方々との交流なども進めている。当会の出版事業として進めてきたフィリピン版『滑り軸受ハンドブック』が会員各位に回覧できる段階になったことや、会員の利便性を図るためのホームページの定期的な更新が可能になったこと、11月の中国・杭州での国際会議開催の準備を進めていることなど、PBSAの活動が順調に遂行されている」と述べた。
林PBSA会長
また、染谷常雄PBSA顧問は、「標準化で先行し、使い勝手がよく、寿命計算も可能といった転がり軸受から、我々滑り軸受の分野の関係者が学ぶことは多い。これまであまり進められてこなかった滑り軸受の寿命計算の研究など、転がり軸受関連で成功した事例や取組みを取り入れて、すべり軸受の業界発展につなげてほしい」と関係各位に訴えた。
染谷PBSA顧問
続いて、2018年度の活動報告(途中経過)として、事業報告および会計報告がなされた後、来賓の挨拶として、経済産業省の根岸氏が「私は転がり軸受のISO TC4にも関わっているが、こちらは日本ベアリング工業会の支援のもとで専任のISO担当委員が長年継続して標準化に携わっている。これによって海外のISO担当者への影響力も強めることが可能になっているものと思う。滑り軸受の標準化においても、担当委員を長年務めていただき、国際会議での発言力を高め、日本発信の規格化を円滑に進めてほしい」と述べた。
根岸 氏
その後、日本機械学会ISO/TC123平軸受国内委員会の活動状況報告が行われ、同委員会の畑中雅憲幹事(大豊工業)から、ベルリン国際会議においてSC7で表面改質技術であるMoS2(二硫化モリブデン)およびDLC(ダイヤモンドライクカーボン)に関して、またSC8で軸受計算法(THL)に関して、日本からの提案・プレゼンテーションがなされたこと、次回国際会議が本年11月6日~8日に中国・杭州市で開催される予定であることなどが報告された。また、2019~2012年度にわたって「摩擦損失低減に貢献するすべり軸受の計算法・表面改質に関する国際標準化」のテーマで、「エネルギー使用合理化国際標準化推進事業」に取り組む計画が報告された。
畑中ISO/TC123平軸受国内委員会幹事
また、田中 正ISO/TC123平軸受国内委員会委員長(大同メタル工業)から、発熱・変形を考慮した軸受計算技術(THL)に関して説明がなされた。
田中ISO/TC123平軸受国内委員会委員長
総会終了後は、長岡技術科学大学の田浦裕生氏による「表面テクスチャのジャーナル軸受への適用」と題する講演が行われた。表面テクスチャをジャーナル軸受のしゅう動面全面に適用した場合(フルテクスチャ)の特性を流体潤滑の立場から検討し、自励振動を抑制できる安定限界速度の向上が可能な一方で、軸受として最も基本的機能である負荷容量の低下につながると考察。負荷容量の低下を抑制しつつ安定限界速度の向上を図るには、部分テクスチャが有効と述べた。
田浦 氏