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SEMICON Japan 2024

 

ナノコート・ティーエス、トライボロジーラボの機能を刷新

 ナノコート・ティーエス(https://www.nanocoat-ts.com)は2022年11月、東京本社およびトライボロジーラボを東京都立川市に移転した。PVD(物理蒸着)コーティングの精密部品・精密加工金型、自動車部品などへの適用を進める営業の体制を東日本で強化するとともに、DLC膜などの開発/不良解析を目的とした受託試験サービスの拠点である「トライボロジーラボ」の機能刷新による受託試験の増強を図っている。

トライボロジーラボのスタッフ一同:左から、生田啓一氏、熊谷 泰社長、川本秀士氏、庄子健一氏、坂下武雄氏 bmt ベアリング&モーション・テック
トライボロジーラボのスタッフ一同
左から、生田啓一氏、熊谷 泰社長、川本秀士氏、庄子健一氏、坂下武雄氏

 

 トライボロジーラボ機能刷新の最大のポイントは、同社が属するHEFグループが1960年代に開発した摩擦摩耗試験機「HEF TRIBOMETER」の、大幅なシステム系統の見直しだ。HEF TRIBOMETERは機械の剛性が高く、ラボスケールから実機条件に近いパイロットスケールまで、種々のトライボロジー試験が行える。

 今回は特に自動車分野や航空宇宙分野などから要求の高い高速・高荷重の試験が実施できるよう、試験片の回転速度を従来の3000rpm から5000rpmへ、試験片への負荷荷重を従来の1000Nから 2000Nへと高めた。

 新システムには、低慣性タイプで高頻度位置決め運転や高加減速運転に最適な主軸用ACサーボモータ「HG-JR503K」(三菱電機製)と、各2個の揺動モータと負荷モータを一つのコントローラーで動かせるステッピングモーター「αSTEP AZシリーズ」(オリエンタルモーター製)を搭載。タッチパネルを用いて試験条件を設定すると、シーケンス制御により上記5点のモータが個別に制御され、セットされた試験片に対し設定された雰囲気、負荷荷重、速度条件で摩擦摩耗試験が自動で行われる。試験片に合わせたアタッチメントのカスタムメイドにも対応している。

 上述のトライボメータ試験モジュールに加え、「FALEX(ファレックス)試験モジュール」も10月をめどに稼働できるよう準備を進めている。そのほか、水素雰囲気中での試験モジュールも構築できるという。

ナノコート・ティーエス トライボロジーラボ 機能が刷新されたHEF TRIBOMETER bmt ベアリング&モーション・テック
機能が刷新されたHEF TRIBOMETER


 トライボロジーラボではまた、自社製造で外販も行う表面清浄度測定器「コロナサーフ」がWindows10での計測制御・データ解析ができるようバージョンアップ、使い勝手が向上し貸し出しも始める予定。コロナサーフは、コロナ放電によって電荷を付与する前後の、母材の表面電位(仕事関数)の変化を振動容量法(ケルビンプローブ)で非接触測定し、母材表面の汚染(酸化)度合いを定量評価。洗浄プロセスの開発や生産ラインでの部品表面の清浄度管理、成膜前処理管理などにも利用できるほか、DLC被膜の表面電子構造の評価・品質管理にも利用されている。

ナノコート・ティーエス トライボロジーラボ バージョンアップされたコロナサーフ bmt ベアリング&モーション・テック
バージョンアップされたコロナサーフ

 

 また、大阪大学名誉教授・井澤靖和氏が開発した「非破壊・非接触DLC膜厚測定装置」も設置。分光干渉方式の応用でDLC膜の膜厚が非接触・高精度に短時間で得られる。三次元形状のサンプルの膜厚やパイプ内径上のDLC膜の膜厚も測定できるほか、膜厚分布状態の把握ができ成膜プロセスの最適化が図れる。

ナノコート・ティーエス トライボロジーラボ 非破壊・非接触DLC膜厚測定装置 bmt ベアリング&モーション・テック
非破壊・非接触DLC膜厚測定装置