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SEMICON Japan 2024

 

イグス、高荷重用途向け射出成形すべり軸受を開発

 イグスは、建設機械や農業機械などの高荷重用途で無潤滑運転および高面圧を実現する、イグリデュール製すべり軸受「Q3E」(https://www.igus.co.jp/info/multilayer-plain-bearing-iglidur-q3e)を開発した。Q3Eは、金属製や編み込み構造式のベアリングに代替する強度を持ちながらも、潤滑剤が不要なためユーザーのメンテナンスコスト削減に寄与する。

イグス Q3E bmt ベアリング&モーション・テック

 

 掘削機が数百㎏の砂を移動させるとき、バケットの軸受部には膨大な荷重がかかる。これまで、建設機械や農業機械などの高荷重用途には金属製または編み込み構造式のベアリングが必須で、イグスではさまざまな材質を使用したイグテックス・シリーズのすべり軸受でこの問題に対処してきた。イグテックスは固体潤滑剤が配合されているため低摩擦・無潤滑での運転が可能で、外層が強度に優れているすべり軸受だが、編み込み構造式のため比較的高コストとなっていた。

 今回開発したQ3Eでは、その製造方法に費用対効果が非常に高い射出成形プロセスを採用することで、多層構造の高荷重用途向けすべり軸受の大量生産が可能としたため、同社の編み込み構造式ベアリングと比較して安価となっている。性能に関しては、射出成形で2種のポリマー素材の長所を組み合わせることに成功。摩擦特性を最適化したい内層にはイグリデュールQ3高機能ポリマーを使用し、高強度が求められる外層には強化ポリマーを使用することで、高荷重用途に対応している。

 Q3Eの最大の利点は、金属製ベアリングが使用されていた建設機械や農業機械などの高荷重用途で、潤滑剤が不要になる点。Q3Eには、微細な固体潤滑剤が内層のポリマーに溶け込んでおり、製品寿命期間中にその固体潤滑剤が徐々に放出される。ベアリングをQ3Eやイグテックスに切り替えることで、ユーザーは潤滑にかかるメンテナンスコストを削減し、機械の耐用年数を延ばすことが可能となる。