「2016年国際航空宇宙展(ジャパン エアロスペース2016/JA2016)」が10月12日~15日、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。主催は日本航空宇宙工業会(SJAC)。
航空機分野では、三菱重工業グループが開発を進める国産ジェット旅客機「MRJ」など国産旅客機に注目が集まる中、米ボーイングや英ロールスロイス、仏エアバスなどの航空機に搭載されている日本の要素技術が多数展示された。各種の要素技術のうち、軸受および軸受応用技術の出展は以下のとおり。
NTNは、MRJに搭載されるプラット・アンド・ホイットニー(P&W)社製ギヤドターボファンエンジン「PW1200」に採用されている主軸用軸受や、ボーイング747-8のフライトコントロールシステムに採用されている軸受、エアバスA350 XWBに採用されているランディングギヤ用軸受などを展示した。また、宇宙機器向けとしては、小惑星探査機「はやぶさ」に搭載された太陽電池パドル用球面滑り軸受などを紹介した。
ジェットエンジン主軸用軸受
ジェイテクトは、ヘリコプタ向けのトランスミッション用軸受やスワッシュプレート用軸受などを出展したほか、人工衛星など宇宙機器向けにJAXAと共同開発した長寿命軸受などを展示した。同社の得意とする特殊環境用軸受の技術をベースとして、宇宙機器用軸受の強化していくことをアピールした。
宇宙機器用軸受
日本精工は、「発電機駆動用トラクションドライブ式CVT」を展示した。高面圧下で大きなせん断力を発生するトラクションオイルによって動力を伝達するもので、向かい合った富士山型の入力ディスクと出力ディスクの間に高面圧で挟んだパワーローラーを傾けることで入出力ディスクの接触点半径を変化させ(介在するトラクションオイルにより)、入・出力間の速度を無段階に調節。大きく変動するエンジンからの駆動速度を、このトラクションドライブ式CVTで調速し、常に一定速度で発電機を回すことにより、航空機に一定周波数(400Hz)の安定した電力を供給できるという。
発電機駆動用トラクションドライブ式CVT
木村洋行は、レックスノードグループ製の各種航空機用軸受を紹介した。様々な形状や金属材料に塗布でき腐食、フレッティング、摩耗などから保護できる自己潤滑ライナー材「Rexlon 2000」や、自動調心機能により大幅なミスアライメント下でも高負荷を支え低摩擦で作動できるコンパクト設計のコンケーブ(鼓型)ロッドエンドベアリングなどを展示した。
自己潤滑ライナー材
また、航空機用軸受でも高信頼性、つまり耐久性を支える技術として各種の表面改質技術が適用されているが、航空機産業参入を支援する東京都の共同ブースでは、航空機エンジン部品などの耐久性向上のためのピーニング加工を手掛けるニッチューのほか、各種熱処理加工を手掛ける上島熱処理工業所や多摩冶金などからなる一貫加工サプライチェーンAMATERASなどが出展した。