NTN( http://www.ntn.co.jp )は、特殊黒鉛を使用し、また軸受材料組成を最適化したことにより、油の適さない環境で使用可能な「自己潤滑性焼結軸受」を開発した。同社によると、焼結金属業界初となる特殊黒鉛を固体潤滑剤として採用した軸受であり、油が使用できない環境においても適用が可能だという。
産業機械や自動車分野で広く用いられる焼結含油軸受は、軸受内部に保持した潤滑油で潤滑している。このため、 コピー機の内部や自動車のヘッドライト内部など、周辺部品への油の付着が装置の性能低下を招く用途や潤滑油が蒸発する高温環境には適用できなかった。
焼結軸受の固体潤滑剤として添加する黒鉛は、その他の金属粉末に比べ流動性に劣り、増量すると成形できなかった。同社は、金属粉末の配合を変更するとともに、流動性の高い特殊黒鉛を従来の黒鉛量の5倍以上添加し、高い生産性を確保しながら、潤滑油を使用することなく優れた摺動特性、耐摩耗性を実現した。また、開発した軸受は導電性を有しており静電気を逃がすことができるとともに、軸受の不具合原因となる粉塵吸着を防止することができる。さらに、給電部材として適用することで、電気を供給するための部品が不要となり、装置の部品点数削減にもなる。
同社は、同品をすでに事務機メーカーや自動車関連部品メーカーに提案を開始しており、軸受単体のほか、樹脂部品を一体化した複合材料商品や、軸受以外の摺動部材としても提案し、広く用途拡大を図る。