RX Japanは6月19日~21日、東京都江東区の東京ビッグサイトで、「機械要素技術展」や「次世代 3Dプリンタ展」などからなる「ものづくり ワールド [東京] 2024」を開催した。ベアリング&モーション技術(bmt)関連では以下のような展示がなされた。
イグスは、機械や設備などの画像からAIが無潤滑化につながる樹脂部品を提案するアプリ「igusGO(イグスゴー)」の日本語対応バージョンを紹介した。同アプリは、可動機構を持つ幅広い対象物をAIが認識し、ベアリングやリニアガイドなど、活用・置き換えの可能性があるイグスのモーションプラスチックをユーザーに提案するもの。ブースではまた、廃樹脂材を使用して製作したサステナブル自転車「igus:bike」を披露した。
オイレス工業は、水中や湿潤環境下で優れた寸法安定性と摩擦特性を発揮する充填剤入りポリエステル自己潤滑軸受「オイレス ファイバーフロンGH」を紹介した。①低膨潤のため初期のクリアランスを金属軸受同等に小さくできる、②高い耐摩耗性があり装置の長寿命化につながる、③無給油で使用できるので装置のクリーン化とメンテナンスの低減が可能なほか、初期グリース塗布作業の工程削減につながる、④食品衛生法ポジティブリストに適合、などの特長を持つ。また、従来金属に埋め込んでいた固体潤滑剤を埋め込むタイプでより低摩擦化の実現を展開した。
木村洋行は、エバリックス製ピラー型電動アクチュエータをベースに、サーボモータと力覚センサを内蔵し、胸部Ⅹ線写真を撮像するためのレントゲンの位置合わせなどにおいて、力覚センサが検知した力の大きさに応じて最適なアシスト力が加わるため軽々と医療機器の上下動(位置合わせ)が可能なシステム「Effortless Motion Control」を披露した。また、300~5000Nmの広いトルク範囲をカバーする、バックラッシ0.1arcmin以下の高精度遊星ギヤユニット「PSCシリーズ」(シェフラー製)を紹介した。減速比は1/35.5~1/200で、低騒音、低振動、低発熱で長寿命、オイル潤滑メンテナンスフリーといった特長を持つ。
グーテンベルク/大塚化学は、最高速度700mm/s、最高加速度30000mm/s、積層ピッチ50~200μmという業界トップレベルの高速・高精度造形を実現する、FFF方式の大型産業用樹脂3Dプリンター「G-ZERO L1」を披露した。チタン酸カリウム繊維材料(TISMO)の含有量やポリアミド(PA)やポリフェニレンスルフィド(PPS)など熱可塑性樹脂基材の組み合わせをコントロールすることで、基本性能の高強度・高寸法安定性に加え、耐熱性、帯電防止などの性能を付加/強化できる大塚化学製「POTICON FILAMENT」との組み合わせで、射出成形に迫る高強度・高精度を実現できることをアピールした。
THKは、自社開発のムービングマグネット方式のリニアモータを駆動に採用した「次世代リニア搬送システム」を紹介した。小型でありながら高推力、高速循環が可能なため、生産性を最大化できる。また、製品の品種を変えたい場合は、上位PLCよりポジションを直接変更することにより自由に位置決めポイントの変更が可能で、変種変量生産に柔軟に対応できる。モジュールを組み合わせて、垂直あるいは水平循環の自由な搬送レイアウトを構築できるほか、モジュール側のLMレールに特殊部品を搭載することで走るたびスライダ側への自動給油を実現できる。
ニッペコは、フッ素系溶剤を用いない環境と人にやさしい水希釈型潤滑剤「HYDLUBTER™ CFP-12」を紹介した。グリースのようなべたつきがなくサラサラで、薄膜塗布が可能。潤滑油成分を水で希釈し、有効成分として摩擦低減剤、防錆剤、防腐・防カビ剤を添加。①ゴム・樹脂・金属部材への優れた塗布性、②優れた乾燥性、③対鋼材で高い防錆性、④対樹脂で潤滑剤による樹脂割れなどの劣化がない、⑤対ゴムで潤滑剤によるゴムの膨潤や硬度変化などの劣化がない、⑥樹脂潤滑用途での擦れ音防止、⑦ゴムの一時的挿入助剤としての理想的特性、などの特長を持つ。
日本ベアリングは、小型アクチュエータ「BG9」を参考出品した。4条列4点接触の高剛性はそのままに、高さ9mm、幅20mmの小型化と、精密級の繰り返し位置決め精度±1μmを実現する。ガイド・ボールねじ一体構造によって組み立て工程を削減する。シリンジポンプや文注装置、チップマウンターなどに活用できる。また、本年4月に発売した高剛性・高負荷容量・コンパクト化を実現した進化系クロスローラーガイド「スライドウェイHV形」や、クロスローラーを使用したケージずれ防止機能付きの有限タイプの曲線運動軸受「ゴニオウェイ」などを展示した。
ハイウィンは、コンパクト・高トルク・高精度な波動歯車減速機「DATORKER🄬」の新シリーズとして追加した、重負荷型の「DGC/DGHシリーズ」、耐モーメント型の「DSC-Mシリーズ」、軽量型の「DLCシリーズ」を紹介した。小型・軽量で組み立てが簡単で、各種産業用ロボットだけでなく、工作機械や半導体製造装置、歯科ミリングマシンなど幅広い精密機器に使用可能で、厳しい負荷条件でも高い角度伝達特性を発揮するため、特に産業用ロボットや工作機械などに最適。コンパクト、高性能、長寿命で、ゼロバックラッシで安定した高い位置決め精度を実現できる。