NTNは密度7.6 g/cm3以上、疲れ強さ1,660 MPa(最大応力1,467 MPa)以上を達成した高強度の焼結合金を開発、従来の焼結合金では適用が限定的だった歯車やカム、ブッシュなど切削加工が必要な機械部品を置き換えることが可能となった。
焼結合金は切削加工をせずに複雑な形状の部品を安価に大量に生産できるため、自動車分野などで採用されている。しかし、従来の焼結合金製部品は内部に空孔が存在するため、溶製鋼から切削加工で製造する部品に比べて信頼性や疲労特性が劣り、適用範囲が限定されていた。
同社では2012年に高密度の焼結合金を開発、さらに、研究を重ね、原料粉末、成形および熱処理などの各種工程で最適化を行い、より高密度、高強度化を図ってきた。
今回は独自の熱処理プロセスを採用することで、歯元疲れ強さ(応力比0.1)を同社従来焼結品比約2倍となる一般鋼材品並みの660MPaまで向上させ、従来焼結品では不可能だった多くの機械部品を開発品で置き換えることが可能になった。歯車の歯面強さの指標となる面圧強さ(すべり率25%)は、従来焼結品比1.4倍の2.3GPa以上を達成したほか、密度は同1.1倍となる7.6g/cm3を実現している。
同社では今後、開発品を機械部品へ適用するだけでなく、同社がコア技術を持つ樹脂部品や磁性部品と複合化したユニット・モジュール商品へ適用する。これにより、自動車の低燃費化や電動化、産業機械部品の高性能化などに貢献していく。