医療機器の設計・製造に関するアジア最大級の展示会・セミナーである「Medtec Japan 2017」が4月19日~21日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。544社/団体が出展、会期中は32561名が来場した。
今回は、患者への負担を軽減する医療機器の技術や、生体への負荷が少ないインプラント機器の技術などが紹介された。
鹿島化学金属では、医療分野の特殊環境に対応する「UKB」ブランドの各種プラスチックベアリングを紹介、耐薬品性に優れしゅう動性の高い「PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)ベアリング」などを展示した。 また、今回は、MRIなど医療機器で求められる非磁性のニーズに対応して、高強度純チタン材を用いたチタンベアリングを披露した。
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新明和工業は、刃の先鋭化と窒化複合処理を実現する「イオンプラズマ処理装置(Ion Plasma Finishing System:IPFS)」を紹介した。注射針の先鋭化処理を行うことで注射針の刺通抵抗値を約50%低減できるほか、窒化層の形成により超硬に迫る高度上昇や高い耐摩耗性が得られることなどを謳った。
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ダイセル・エボニックでは、日ビの内視鏡処置具、カテーテルといったメディカルデバイス用の極細高精度チューブに採用されたPEEK樹脂「ベスタキープⓇ-J」をアピールした。内視鏡処置具にはこれまでフレキシビリティ性の要求からフッ素樹脂のチューブが多用されてきたが、最新の検査や治療方法においては同時に耐キンク(耐折れ、曲がり)性のある適度な剛性も求められてきている。これに対し同社が、独エボニック社製PEEK樹脂をベースに開発製造した日本オリジナルのPEEKナチュラルグレード「ベスタキープⓇ-J」を供給、同PEEK材で成形された細径チューブはその高い耐薬品性と適度な剛性、弾力性とその優れた摺動性により、多筒構造を要求される内視鏡処置具やカテーテルにおいても優れた特長を発揮。内筒にベスタキープⓇ-Jを、外筒にフッ素樹脂を採用することにより、安定した摺動性、つまりより効率の良い施術が可能になるという。
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ミネベアミツミは、外径15mm以下の各サイズに対応可能な「NMB高耐食性ミニチュア・ベアリング」を展示。特殊な材料の使用により、ステンレス鋼ベアリングに比べ20倍以上の耐食・防錆性を実現、表面改質処理工程を必要とせずに、化学薬品に侵食されやすい医療機器など高い耐食性が求められる用途に適用できることをアピールした。また、10-8mbarまでの真空、550℃までの高温、ー193℃までの低温、5μNmまでの低トルク、50万rpmまでの高速といった極限条件に対応する医療機器・歯科向けオーダーメイド特殊高性能ベアリングなどを披露した。
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