「第21回機械要素技術展(M-Tech)」(主催:リード エグジビション ジャパン)が6月21日~23日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催された。同展は、ベアリング・直動案内機器、ダンパー、ばねなどの機械要素や、金属、樹脂に関する加工技術を一堂に集めた専門技術展。ベアリング・モーション機器関連では今回、以下のような展示が見られた。
本年8月に創業100周年を迎えるアンテックスでは、建設機械から風力発電装置など各種産業機械に用いられる「旋回ベアリング」を展示した。材料切断からローリング鍛造、熱処理、鍛造素材、ターニング加工、歯切り加工、高周波焼入れ、穴あけ加工、組立て、完成品までの一貫生産システムを構築しているため、各種ニーズに適合した内歯車付きや外歯車付き、歯車なしといったオーダーメイドの旋回歯車を提供できることをアピールした。
天辻鋼球では、最小サイズφ0.1mmから素材を問わず限りなく真球に近づける加工技術を得意とすることをアピール、滑らかな駆動を実現する「軸受用鋼球」や耐熱性・耐摩耗性・耐食性に優れている「セラミック球」などを紹介した。NHKの番組『激突 神ワザ!究極の“真球”を目指せ』対決で勝利した世界最高クラスの精度のボールと、東芝マテリアル・ジェイテクトと共同で製作した世界最大級となる直径4インチ(10.16㎝)のセラミックボールを展示した。
NSKマイクロプレシジョンでは、高精度の深溝玉軸受を6個使用しスムーズな差動を実現するほか、予圧設計によってスライダーとレールのガタがないローコストの直動製品「i-SLIDE(アイスライド)」や、極小アンギュラ玉軸受「クロクシー」を使用することで滑らかな回転によってスムーズな直線運動と高負荷容量を実現した「FULRIDE(フルライド)」などを紹介した。いずれも製品を組み込んだシステムとしての使用例を展示した。
ツバキ山久チエインでは、世界で初めてオールPEEK樹脂で製造した世界最小ピッチ(4.5mm)の「プラスチックモジュラーチェーン」を展示した。リンク材だけでなく、ピン材にも高い剛性を持つダイセル・エボニックのPEEK樹脂「ベスタキープ-J」が採用され、一層の軽量化を実現。また、金属部品を含む従来の搬送チェーンと違い、金属部品を排除したことで、搬送中の製品や、食品などへの金属混入を金属探知機で検査する工程での使用を可能するという。
TOKは、ベアリングやロータリーダンパー、ワンウェイクラッチの独自技術を融合させた新製品「SRシリーズ」を紹介。移動(昇降)するパーツを任意の位置で保持できる、許容トルク1.25N・mの逆入力遮断クラッチ「SR2」や、開閉頻度の高いパーツのスローダウンに最適な、耐久性30万回を実現する高耐久自動調圧ダンパー「SR3」、ワンプッシュで取り付け・取り外しができるユニットシステム「SRX」のデモ機をそれぞれ披露した。
日本ベアリングは、本年8月に発売予定の、高剛性・高運動精度・高減衰性を実現したローラーガイド「EXRAIL」を紹介した。会場では、同ローラーガイドに関するプレゼンテーションが行われ、従来比1.5倍の剛性と振動を同1/2以下に減少させる高い運動精度、同1.5倍以上の高い減衰性を実現させた開発者の談話や、“新時代の要求に応える新しいローラーガイド”のブランディングに寄与した工業デザイナーの談話などを収めたPVが放映された。
日本電産シンポは、高面圧下で高い粘度特性を発現する「トラクション専用オイル」を用いて、歯のないローラーによって動力を伝達する低脈動、静音、高精度の「トラクション減速機」を展示した。金属部品同士の摩擦伝達に比べて、油膜を介してトルクが伝達されるために長寿命で摩耗が少ないことや、静音性では騒音値で40dB台、制御精度に影響が大きいバックラッシも0.1(1/600度)以下といった種々の特徴をアピールした。
不二WPCは、金属の疲労強度改善やフリクション低減、耐摩耗性向上を図る「WPC処理」や人体親和性があり、耐摩耗性、滑り性を向上させる「DLCコーティング」、刃物の切れ味向上などに有用な「短パルスレーザ加工」、3D形状でも均等に磨ける「3Dラッピング」などを紹介。特にWPC処理はコーティングと違い異物混入を招く可能性のないことから、食品分野や医療分野で実績があることをアピールした。参考出品として、WPC処理およびWPC/DLC複合処理することで長時間回転できるハンドスピナーを展示した。