NTNは、新規事業の創出と技術革新の加速を目的に、大阪府吹田市の大阪大学大学院工学研究科に「NTN次世代協働研究所」を9月1日に設立、9月5日に同大学と共同で開所式を開催した。
NTN次世代協働研究所の開所式で握手を交わす大久保博司NTN社長(写真左)と西尾章治郎 大阪大学総長(写真右)
同社では2018年3月に創業100周年を迎えるにあたり、次の100年に向けた基盤技術の強化と新商品による新たな領域での事業創出に取り組んでいるが、大阪大学の「協働研究所制度制度」(企業と同大学が共通の場で相互に研究の情報・技術・人材・設備等を利用し研究成果の産業への活用促進、研究高度化、双方の高度人材育成を目指す制度)を活用し、同大学内に「NTN次世代協働研究所」を設立した。
研究所長には大阪大学大学院工学研究科の赤松良信特任教授(元NTN執行役員)、研究副所長には大阪大学大学院の田中敏宏工学研究科長が就任する。
NTNは大阪大学と共同で、創薬や再生医療への適用を目的に、同大学のiPS由来細胞を用いた細胞積層化技術と同社独自技術である微細塗布装置を用いた、革新的な人工三次元細胞組織の研究開発を進めている。また、本研究所では人工知能(AI)を活用して自動車、鉄道車両、工作機械などの軸受の損傷状態や潤滑剤(グリース)の劣化状況を推定し、軸受余寿命を予測する開発や、軸受に多機能センサを付与することで軸受運転時の傾向管理や破損の未然防止を可能にする技術開発に着手する予定。また、省エネルギーや自動車の低燃費化に向けた高度なシミュレーション技術を適用した軽量・コンパクトな商品開発や、開発期間の短縮に貢献する研究にも取り組んでいく。
9月5日に大阪大学と共同で開催した開所式では、大阪大学の西尾章治郎総長、田中工学研究科長をはじめ多数の来賓が列席しテープカットを行った。挨拶に立った西尾総長は「ベアリング技術を中核に、AIを活用したモニタリング技術やシミュレーション技術の高度化、NTNと大阪大学の双方の高度な人材育成、研究成果の産業への活用促進など、次の時代への歩みを進め、広く社会に貢献する取組みを力強く進めていきたい」と述べた。
開所式でのテープカットの様子:写真左から2番目が、NTN次世代協働研究所長に就任した赤松良信 大阪大学特任教授
なお、10月13日に、大阪大学で産学における技術連携強化や、次世代の人材育成を目的とした「NTN次世代協働研究所設立記念シンポジウム」の開催を予定。同社の歴史や、自動車・産業機械分野の技術革新における同社の貢献、中期経営計画「NTN 100」で推進している新事業領域である自然エネルギー事業、EV事業、ロボット関連事業、ビッグデータを活用した状態監視などサービス・ソリューション事業における商品や今後の研究開発方針などが紹介される。