空スペース( http://www.coo-space.com/ )は、保持器なしで玉同士を非接触にするADB(Autonomous Decentralized Bearing:自律分散式転がり軸受)について、新開発の“内輪穴充填構造”による深溝玉軸受、複列アンギュラ玉軸受を開発した。
同社ではこれまで、保持器を使用せずに玉を分散する独自技術ADBを、アンギュラ玉軸受をメインに製作してきた。これは従来軸受の保持器の占める空間を玉で満たすADBの構造がアンギュラ玉軸受に適用しやすいため。
一般的な深溝玉軸受のADBは、内外輪に設けた入れ溝から玉を充填する必要があったが、入れ溝は摩耗や荷重によっては玉軌跡が入れ溝側にずれて回転がロックする恐れがあり、“入れ溝を天方向に設置”、“低速専用”などの制約が必要だった。また、入れ溝をシールすることができなかった。
空スペースではこの問題を解決するため、内輪に設けた穴から玉を充填し、内径面側からキャップで蓋をする、“内輪穴充填構造”を開発した。キャップは、軸受を装置に組み付ける際に、軸と内輪に挟まれて固定されるため脱落することがない。
開発品の特徴は以下のとおり。
1.従来の深溝玉軸受、複列アンギュラ玉軸受と完全互換
2.保持器損傷や玉脱落、内外輪分離が起こらない内輪穴充填構造(特許出願中)
3.潤滑に頼らない、低トルク、高い調心性、など、ADBの特徴を保有
開発品は、既存軸受の追加工品として受注生産する。たとえば、深溝玉軸受6901LLB(シール付、玉径3.175、玉数10 個)を玉数17 個に増加したり、複列アンギュラ玉軸受 5200(シール付、玉径4.763、玉数7 個/列)を12 個/列に増加するなどの製作実績がある。
空スペースでは現在、ADBの製造、販売パートナーを募集している。
今回の開発品はまた、9月19日、20日に東京都立川市のパレスホテル立川( http://www.palace-t.co.jp/access.html )で開催される「新技術創出交流会」で披露される。