イグス( https://www.igus.co.jp )は、イグスグループが2017年度にグローバルで前期比17%増の売上⾼6億9000万ユーロを達成した、と発表した。内訳としては53%がヨーロッパ、30%がアジア、17%がアメリカとアフリカで、従業員数は3800人へと増加した。同時に、製品開発や出荷能⼒拡⼤、デジタル化に向けた大型投資を実施した。
機械可動部での使⽤に適したイグスのプラスチック製部品「モーション・プラスチック」は、ベアリングや可動ケーブル、ケーブル保護管といった要素部品のほか、コストパフォーマンスに優れたロボット製作を実現する単独のロボット関節から、オンラインで構成可能な3Dプリントのベアリングや⻭⾞、実働状態を持続的に監視するIoT対応製品「スマート・プラスチック」など、広範に及ぶ。
その使⽤領域は半導体製造や、アントワープから上海に至る港湾で採⽤されている1000機を超えるガントリークレーン、北極で使⽤される⽔陸両⽤⾞両など多岐にわたるが、いずれも可動部における技術改良やコスト削減に寄与、世界中の20万を超えるユーザーにそのメリットを提供している。
こうした製品やサービスを迅速に提供する目的でイグスでは、北⽶、アジアおよびヨーロッパにおける保管能⼒を世界規模で⼤幅に拡充した。アメリカでは倉庫兼事務所をさらに5000㎡拡⼤、一方で日本やポーランド、インドでは倉庫⾯積を倍増した。さらに中国の上海では床⾯積約22000㎡の新施設の建設を開始、2019年に完成する予定となっている。販売拡⼤に伴い、ベルギー、デンマーク、エストニア、フランス、オーストリア、スペインの販売拠点も昨年度増強した。
また、イグス本社でも、製品の迅速な供給を可能にするため、重点的に投資を継続。昨年だけでも新型射出成形機約100機の運⽤を開始し、生産能⼒を⼤幅に向上した。
同様に、ITインフラへの投資も2014年⽐で4.5倍に増額した。イグス全製品をオンラインで構成・寿命予測を可能にし、受注処理から製造、メンテナンス、サービス提供にいたる全工程をデジタル化して自動生産することを目標としている。
イグスでは、これまで蓄積した50年以上のエンジニアリングプラスチックの経験や、業界最⼤規模の2,750㎡の自社試験施設で得られたデータを活用したデジタル化によって、「樹脂製すべり軸受やリニアベアリング、⻭⾞のほか、ケーブル等の可動⽤機械要素部品の寿命予測までも可能にした。現時点で、理論値でなく試験データを基にした寿命予測としては世界で唯一になる」と、イグスのフランク・ブラーゼCEOは述べている。
オンラインツールを活⽤することで、設計者は時と場所を選ばず、迅速・簡単に必要とするイグス製品を検索し、使⽤要件に適した製品寿命を計算できる。
一方で、製品自体のデジタル化も進めている。センサーやモニタリングモジュールを装備したインテリジェントなケーブル保護管「エナジーチェーン」や可動ケーブル、リニアガイド、ロータリーテーブルベアリングなどの「isense」製品群によって、作動中に摩耗量を測定し、修理や交換のタイミングを事前に知らせるため、寿命予測が可能になり、メンテナンス作業を計画的に実施できる。イグスでは戦術のテストデータを基にしたインテリジェント機能の付与によって、部品の予知保全を確⽴している。
イグスではまた、エンジニアリングプラスチックに関する専門知識や評価試験、継続的な開発から、新規⽤途への可能性を開拓し続けている。たとえば、ロボティクス分野に向けた無潤滑・メンテナンスフリーの低コスト多関節ユニットのロボリンク「Apiro」(ギリシャ語で「無限」を意味するモジュール式低コストロボット)を今年4月のハノーバー・メッセで紹介した。いくつかのエレメントを装備するだけで、非常に複雑な動作や機械コンセプトが容易に経済的に実現できる。
無潤滑・メンテナンスフリーの低コスト多関節ユニットのロボリンク「Apiro」
イグスでは今後も、「部品単体のオンラインでの構成および寿命予測から、世界規模でのプロジェクト案件の選定、組付け、設置まで、包括的なサービスを提供していく」としている。