THK 事業開発統括部長の望月廣昭氏が執筆した、30代、40代エンジニアの指針となり、今抱えているエンジニアの悩み、目標設定に役に立つビジネス書『技術者の目指すところは何か-ビジネスを考えた技術経営者-』がこのほど、静山堂出版( http://seizandobook.jp/ )から発行された。四六判、110頁。定価1,400円(税別)。
本書は、 1986年にTHKに入社し現在同社の主力製品であるリテーナ入りLMガイドガイドの開発とマネージメントに従事、その後航空機など新規事業開発を展開してきた技術経営者としての著者が、自身の経験に基づき、技術者にとっての生きがい、あるいは楽しさを感じて、一生涯エンジニアとして仕事に従事しようと考えているエンジニアに向け、特に若手エンジニアと中堅エンジニア兼マネージャー層に向けて執筆された。本文中のイラストは同社グローバルマーケティング統括部 ブランディング企画部 副部長の中川透氏が提供した。
イラストの一例(提供:中川 透氏)
若手エンジニアに対しては、技術者としての生きがいは科学技術の発展、公共の安全、環境保全に使命感を持って社会貢献することで、その見返りとして企業内での成果報酬、あるいは独立によって成功を収め豊かな生活ができる生き方がベストであるとの著者の考えから、技術の探究心を忘れずに論理的な考えをベースに大きな目標を持ち、日々精進しながら地力をつけて、唯一無二のスペシャリストを目指してもらうよう、著者が企業内でプレイニングマネージャーとして培った創造開発業務のノウハウを綴った。また、技術者にとっての生きがいを実感するためにも、社会的に認められている技術士を取得することは一つのステータスであり、多くの若手エンジニアに目指してもらいたい資格との認識から、技術士試験に向けた取り組みについても紹介している。
一方、中堅エンジニアは、一生涯スペシャリストとして技術を追求しながら創造と確固たる技術を確立してビジネスへと展開させていく道を選ぶか、あるいは企業内において出世を志しながらジェネラリストとして、組織運営、管理業務、人間関係にウエイトを置き、技術に係わる業務から離れざるを得ない道を選ぶか、の分岐点に差し掛かる時期がある。中堅エンジニアは、自分のスペシャリスト能力に見合った収入が得られていないのではないかと不満を持つことが引き金となって、モチベーションの低下、長いものに巻かれるなどといったネガティブな考えに陥ることが散見されることから、すでに技術者として成功を収め、ある地位に置かれている中堅エンジニアが、今後、さらなる自己研鑽をしたいと思えるように、将来の定年後のことを考えて、今から準備するためにも技術に係わるビジネスについて紹介している。
本書の構成は以下のとおり。
第一章 【現状】30代、40代の悩み
第二章 【目標/理想】技術者としてのスキルアップ
第三章 【計画】人生設計
第四章 【行動】コンピテンシー
第五章 【選択肢】企業内エンジニアとしてのあり方
第六章 【選択肢】技術コンサルタントへの道
著者プロフィール
望月廣昭(もちづき・ひろあき)
1963年4月 山梨県生まれ。1986年4月 THK㈱入社、リニアモーションの設計・開発、新技術リテーナ入りLMガイドガイド開発(精密工学会賞受賞)、マネージメントに従事。2009年7月 新規事業開発(航空機事業開拓)立ち上げに従事、2010年3月 技術士(機械部門)取得、2014年6月 技術本部 事業開発統括部長に就任し、新規事業拡大、事業創出に従事。現在に至る。技術士(機械部門)。