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SEMICON Japan 2024

 

ハノーバーメッセ2019が開催、ベアリング&モーション関連の最新技術が集結

 ドイツ・ハノーバーで4月1日~5日、世界最大規模の国際産業見本市である「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)2019」が開催された。インダストリー4.0や5G通信、モーション&ドライブ、総合エネルギーなどのテーマのもと、約6500社が出展し、約22万人が来場した。

会場のようす会場のようす

 ここでは、同展で展示されたベアリング&モーション技術関連の新技術の一端を紹介する。

イグス
 新開発した120点のモーション・プラスチック商品を発表した。その内、軸受関連では、7tの高荷重に耐えるすべり軸受「イグリデュールQ2E」を披露した。外側の硬質ポリマーシェルと、軸としゅう動する優れた摩擦摩耗特性を備えたイグリデュールQ2コア材で成形。シェルが高い軸受強度と長寿命を実現し、イグリデュールのコア材が悪環境での潤滑油フリー・メンテナンスフリーを実現する。直径20mmのすべり軸受の場合、高い形状保持性と優れた摩擦摩耗特性で最大7tの荷重に耐える。こうした高荷重用のすべり軸受では従来、すべり軸受の外周に繊維強化複合材を巻き付けることで軸受強度の向上を図っていたが、この製法は高価な材料と時間を要し高コストとなる。これに対し本品は、射出成形が可能なため、コスト効率も高い。建設機械やクレーン、農業機械など高い荷重のかかるアプリケーションに最適。

イグスブースのようすイグスブースのようす

THK
 主力製品の直動案内「LMガイド」、ボールねじ、電動アクチュエータの出品をはじめ、ブース内の特別エリアに、簡単・安全・グローバルに運用可能な製造業向け予兆検知アプリケーションである「OMNI edge(オムニエッジ)」を初出品し、デモンストレーションの実演を行った。「THK SENSING SYSTEM」に加えて、シスコのエッジコンピューティングルータもしくはスマートフォンに集約したデータを、ドコモのモバイル回線を介してセキュアに収集。「THK SENSING SYSTEM」で取得したデータを用いることで、LM ガイドの状態診断や装置の予兆保全を可能とするアプリケーションとして提供できるようにする。IoT 化に必要なデータ収集・蓄積・分析といった設計・構築作業を自動化することで、IT 担当者不在の製造現場でも簡単に短期間での導入を可能とし、保守運用に関してもトータルサポートを実施することで、ユーザーの負担軽減につながる。

THKブースのようすTHKブースのようす

リューベ
 「Keeping machinery running(世界の機械を停めない)」をテーマに出展、信頼性を最大化できる各種の集中潤滑システムを紹介した。高速スピンドルのための潤滑システムとしては、定量方式の電動間欠吐出型ギアーポンプ「AMO-III DS型」やオイルエアー定量バルブ「MIX-S型」、バルブから先の給油配管上でのオイルの流れ検知が可能な「オイルエアーセンサー」からなる、「オイルエアーシステム&センシングシステム」を披露した。
 また、環境と人に貢献する次世代の潤滑システムとして、直動機器の転がり面に強力な油膜を形成、高荷重の直動機器のかじりや異常摩耗を防止するほか水分混入による乳化を防止し優れた防錆性で錆の発生を抑制、さらに適時・適量潤滑が可能なため理想的な潤滑効果が得られる「リューベ ハイブリッド潤滑システム(LHL)」を展示した。

リューベブースのようすリューベブースのようす

NACHI EUROPE(ナチヨーロッパ)
 不二越製の耐荷重能の極めて高い長寿命自動調心ころ軸受のために設計された、プランマブロックハウジング「SNJ」を展示した。構造上の特徴としては、高荷重用途に適した脚部の高強度デザインがあり、ハウジング底部の両端の取付穴の周囲に横桟を追加して補強するなど装着面積を増大している。また、ハウジングベースの中央支持部の接地面積を増やすことで放熱エリアを拡大、軸受の作動温度を下げることで機械の稼働寿命延長につながる。潤滑方式はグリース潤滑とオイル潤滑の両方に対応(ただしグリース潤滑を推奨)。軸受外輪に給脂するためのグリースニップルはハウジングの頂部に設けてあるが、使用条件に応じてグリースニップルの追加も可能。位置合わせ用のピンによってハウジングの上部と下部の位置合わせ・組み立てが容易で、ハウジング自体の取付・位置合わせもハウジング両端に設けられたマーキングによって、正確・迅速に行える。

NACHI EUROPEブースのようすNACHI EUROPEブースのようす

SMG
 スラスト荷重とラジアル荷重を同時に吸収できるプラスチックボールベアリング「ARL」を紹介した。一般的なラジアル軸受に比べて約8倍のスラスト荷重を受けることができる。スラスト軸受とラジアル軸受を組み合わせた省スペース設計によって、軸受スペースが限定されるアプリケーションに適している。高性能プラスチックの使用によって200℃以上の使用環境でも適用できる。金属製軸受に比べて70%まで軽量化しつつ低摩擦化を実現、自己潤滑性プラスチックの採用で無潤滑で使える。酸やアルカリへの耐性も高い。特に高荷重用途では円筒ころ軸受タイプなどの製作も可能。日本ではエバオンが販売代理店を務めている。

SMGブースのようすSMGブースのようす

Franke
 内外輪の軌道面をワイヤーで構成することで軽量・コンパクト化を図った「ワイヤー・レース・ベアリング」を展示した。同品はワイヤー・レース構造によってコンパクト・軽量化(一般的な軸受と比べ最大 65%軽量化が可能)を実現。隙間調整が可能で、回転がよりスムースになるほか、4点接触軸受並みの高い荷重を受けられる。設計がよりフレキシブルになる上、材料の選択肢が豊富で、また、環境に影響されにくく、長寿命化を可能にしている。日本国内ではエバオンが販売代理店を務めている。

FrankeブースのようすFrankeブースのようす