ジェイテクトは、電気自動車(EV)の減速機内部にあるプラネタリギヤに使用する針状ころ軸受について、減速機軽量化への市場ニーズに貢献するため、同一サイズの鉄製保持器に比べ20%軽量となる樹脂保持器を使用した「EV向けプラネタリギヤ用軽量針状ころ軸受」を開発した。
2025年に量産を開始。国内メーカーを皮切りにEV市場の拡大が進む中国・アセアンで販売を展開、3億円/年の売上を目指す。
近年、自動車市場では、CO2排出規制が進み、これに対応するEVの普及が進んでいるが、EVにおいては、電費の向上のため減速機の軽量化への取組みが喫緊の課題となっている。
プラネタリギヤは、遊星歯車とも呼ばれ、中心となるサンギヤの周りに複数個のギヤが惑星のように配置されている歯車で、そのかみ合いによって必要な変速を行う。
プラネタリギヤ用針状ころ軸受の保持器には、プラネタリギヤの公転による遠心力が負荷される。このため耐久性の高い鉄性鋼板を使用することが一般的だが、自動車のさらなる軽量化に対応するため同社では樹脂製保持器を開発、鉄製保持器に比べ保持器に発生する応力を70%低減させた。
これにより同一サイズの鉄保持器製針状ころ軸受と比べ、約20%の軽量化を実現した。軸受取り付け寸法を変更させることなく、減速機の軽量化を実現する。
また、樹脂の成形自由度を活かし、保持器形状を改良することで、少油量環境下における軸受に必要な潤滑油を確保できる。