NTNは、手首関節モジュール「i-WRIST®」について、取付け姿勢や安全規格への対応など四つの機能を拡張した新シリーズ「IWSシリーズ」を開発し、販売を開始した。外観検査、グリース塗布、洗浄、組立てなどでの適用を提案し、2023年度に3億円/年の販売を目指す。
i-WRISTは、独自のリンク機構により手首のようななめらかな動きを特長とし、細かい角度制御を高速で行うことが可能で、その先端部にエンドエフェクタを取り付け、グリース塗布や洗浄、組立てなどの用途に使用できる。これまでに自動車部品などの外観検査用途などで採用されているが、本商品を市場に展開する中で様々な要望があり、今回、機能を拡張したIWS シリーズの開発に至ったもの。
機能拡張のポイントは以下のとおり。
1.あらゆる取付け姿勢に対応:従来の下向きに加え、上向きや横向き、傾斜姿勢の取付けが可能。たとえば上向き姿勢では、エンドエフェクタを固定してi-WRIST側で軽量なワークの姿勢を制御することで、カメラの振動やぶれなどを抑えられ、より正確な撮像を実現。また、使用用途や設置スペースに合わせた最適な装置構成が可能
2.外部インターフェースの拡張:ユーザー側のコントローラからi-WRISTに指令を送るための外部インターフェースとして、従来のパラレル入出力(I/O)に加えてEthernetにも対応したほか、ワーク位置にわずかなずれが生じた際のi-WRISTの動作調整など、状況に応じて様々な動作設定が可能
3.動作速度の向上:最大動作速度が1.6 倍(従来比)となり、タクトタイムのさらなる短縮に貢献
4.安全規格への対応:産業用ロボットのための安全規格 ISO 10218-1に準拠しているほか、制御モータにブレーキ機能を追加し、停電時などの電源遮断による事故を防止。また、専用コンソールからi-WRISTへの動作指令も安全規格に準拠
近年、労働人口の減少に伴い、人手に頼ってきた外観検査をはじめとする作業工程の自動化の需要が拡大している中、NTNではi-WRIST「IWS シリーズ」の提供を通じてユーザーの生産現場のロボット化・自動化を後押しすることで、生産性や品質のさらなる向上に寄与していく考えだ。