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SEMICON Japan 2024

 

NTN、絶縁軸受シリーズに鉄道車両車軸用セラミック軸受を追加

 NTNは、電食(スパークが生じた部位が局所的に高温になり金属組織が溶融する現象で、軌道面や転動面の剝離などの損傷につながる)を防止する絶縁軸受「メガオームTMシリーズ」に、新たに鉄道車両車軸用軸受「セラミック絶縁軸受」(複列円すいころ軸受)を追加した。同社がすでに供給している鉄道車両の主電動機用軸受とともに、今後需要の増加が予想される鉄道車両用軸受の電食防止ニーズに対応し、車両のメンテナンスコストの低減に貢献していく。

NTN 鉄道車両車軸用「セラミック絶縁軸受」 bmt ベアリング&モーション・テック
鉄道車両車軸用「セラミック絶縁軸受」

 

 モータや発電機などに用いられる軸受には漏洩電流による電食が発生することがあり、軸受の寿命を縮める原因となる。同社の絶縁軸受「メガオームTMシリーズ」は、外輪の外径から幅面に設けたセラミックまたはレジン(樹脂)の絶縁層により、軸受内部への電流の通過を妨げ、電食を防止する(絶縁性能:100MΩ以上(DC500V))。絶縁層の材質や仕様などのバリエーションの中から、耐電圧、耐衝撃性など用途に応じた最適な商品を選択することが可能で、これまでに鉄道車両の主電動機用軸受として多数の採用実績を持つ。

 鉄道車両の車軸用に使用される複列円すいころ軸受は、主電動機用に使用される深溝玉軸受や円筒ころ軸受よりも外輪外径面積が大きいため、絶縁対策を施すにあたって、硬く加工が困難とされるセラミック層を均一かつ広範囲に形成することが課題となっていた。

 同社では今回、長年にわたる絶縁軸受の開発・製造で培ったセラミック層の溶射・研磨技術を活用することで、鉄道車両車軸用「セラミック絶縁軸受」(複列円すいころ軸受)の製造を可能したもの。

 本開発品は、車軸軸受特有の走行による振動や衝撃が伴う使用条件に対応しており、すでに一部のユーザーに納入を開始している。

 同社では、「CO2排出量が少ない移動手段として注目を集める鉄道車両は、世界中で車両の電化が進められており、内燃機関(ディーゼル)に電動機や蓄電池を組み合わせたハイブリッド車両も増加している。また、新興国の都市部では、渋滞緩和を目的に鉄道網の整備も進められており、鉄道車両用軸受に発生する電食へのさらなる対応が求められる。NTNでは、本開発品を含む「メガオームTMシリーズ」をグローバルに提案し、電食に起因する鉄道車両のメンテナンスコストの低減と、電食対策が求められる機器の安心・安全に貢献していく」とコメントしている。

 

適用箇所(鉄道車両) NTN bmt ベアリング&モーション・テック
適用箇所(鉄道車両)

 

NTN 鉄道車両車軸用「セラミック絶縁軸受」の構造 bmt ベアリング&モーション・テック
鉄道車両車軸用「セラミック絶縁軸受」の構造