NTNは、逆入力遮断クラッチ「トルクダイオード®」の新たなラインアップとして、従来品に対して外輪外径を1/3の10mmに小型化し、重量を1/14の5gに軽量化したトルクダイオード「TDL8」を開発した。各種産業機械の小型・軽量化に貢献し、省エネルギー化と安全性を向上する。逆入力防止機構や落下防止機構などへの提案を進め、2024年度に2億円/年の販売を目指す。
トルクダイオードは、モータと変速機など二つの動力伝達軸の間に使用し、入力軸からの回転(トルク)を出力軸に伝達し、出力軸からの回転(トルク)は入力軸に伝達しない逆入力遮断クラッチ。トルクダイオードには、出力軸を回転させようとしても出力軸がロックされて入力軸へ回転を伝達しないロックタイプと、出力軸を回転させると出力軸が空転して入力軸へ回転を伝達しないフリータイプの2種類がある。
ロックタイプのトルクダイオード(TDL)は、外輪と内輪、保持器、ころ、ばね、側板で構成されており、ユーザーが用意する入力軸とともに使用する。入力軸の回転は、内輪と一体化した出力軸に伝達される一方、入力軸が回転しない場合には、ころとばねが出力軸をロックし、逆入力を遮断する。同様の機能を持つ電磁ブレーキと比べて、TDLは電気や配線が不要となるため、搭載機器の省エネルギー化が可能となるほか、停電時における安全性能にも優れている。
これらの特徴を活かし、TDLは意図しない出力軸の回転を防止するための逆入力防止機構や、停電時など入力軸の回転が停止した際の安全確保を目的とした落下防止機構などに使用されている。例えば自動車では、シート座面の高さ調節時に、レバー操作によりシートを上下させ、操作がない時はその高さを保持するシートリフタ機構に採用されている。
今回開発した小型・軽量トルクダイオード「TDL8」は、新たに開発した極小径のころに加え、従来よりも省スペースを可能とする独自形状のばねを採用することで、同社従来設計を適用した同サイズの商品に比べ、ころを多く組み込んでいる。これにより、同社従来品「TDL28」から1/3の小型化となる外輪外径10mmと1/14の軽量化となる重量5gを実現した。
開発品は、従来品から大幅な小型・軽量化を実現しており、搭載機器の小型・軽量化・省エネルギー化に貢献するとともに、搭載機器を小型化することでその機器を加工するのに必要な電力や切削液、工具の消費などを抑えられ、機器の製造時の省エネルギー化や環境負荷の低減にも寄与する。