本年5月30日~6月2日にドイツ・ハノーバー国際見本市会場で開催され約2500社が出展する世界最大の産業技術見本市「HANNOVER MESSE(ハノーバーメッセ)2022」(主催:ドイツメッセ)に関して、3月16日に「Hannover Messe Preview 2022」がオンライン開催され、概要と見どころが紹介された。
当日はまず、主催者であるドイツメッセCEOのJochen Koeckler氏が「世界の製造業において気候変動への対応が急務となっている一方で、政治的に環境的に経済的に激変する転換点にあって安定的な供給と成長をいかに成し遂げるかが中心課題となっており、課題解決においては本展で披露されるような革新的な技術が重要な役割を果たすだろう」と述べ、「ハノーバーメッセ2022」の開催概要と展示プログラムについて紹介した。
「ハノーバーメッセ2022」では「Industrial Transformation(インダストリアル・トランスフォーメーション)」をメインテーマに、安定供給および環境保護のためのグリーンエネルギーおよび水素燃料や、気候変動抑制に貢献するデジタル化・自動化・産業用AIの活用などに関するソリューションが提示される。
欧州においてカーボンニュートラルな製造およびエネルギー安全保障といえば、再生可能エネルギーやグリーン水素(再生可能エネルギーの電力を使って水を電気分解して製造する水素)が中心的役割を果たす。「ハノーバーメッセ2022」ではたとえばボッシュが、産業プロセス向けグリーン水素製造のための、インダストリー4.0設備を用いた水素サイクルを提唱する。
欧州では2050年までに気候中立(温室効果ガスの排出ゼロ)を目指しており、最新の機械・設備を活用しての省資源・省エネのものづくりだけでなく、機械・プラントエンジニアリングや電気エンジニアリング、ソフトウェア・IT業界などのトータルソリューションによるシステムの制御性改善などに伴う温室効果ガス削減、気候中立への取組みが進められている。「ハノーバーメッセ2022」ではたとえばシーメンスが、自社のサプライチェーンおよびバリューチェーンすべての製品カーボンフットプリント(PCF)を追跡できるようにするためのソフトウェアを紹介する。
続いて、「ハノーバーメッセ2022」のパートナーカントリーであるポルトガルの展示に関する紹介がなされた。ポルトガルからは120社以上が登録しており、「Portugal makes Sense」の標語のもと、デジタルトランスフォーメーションやエネルギートランジッション(エネルギー転換)、サプライチェーン安定化のための製品やソリューションを紹介する。
そのほか、「ハノーバーメッセ2022」の出展社を代表して13社がプレゼンテーションを行い、ベアリング&モーション技術関連では、イグスとシェフラーが「ハノーバーメッセ2022」で披露する製品・技術について発表した。
本展でイグスは、「ローコストオートメーション」をテーマに、センサ付きモーションプラスチックの適用により軽量(約8㎏)で低コスト(4970ユーロ)のスマート協働ロボット「ReBeL」を披露する。また、同社のローコストロボットのオンラインマーケットプレイスである「RBTXpert」を紹介する。
可搬重量2㎏、最大リーチ664mmのReBeLを構成する機構部品はすべて自社製。キーコンポーネントとなる波動歯車ユニットもその一つで、モータによる熱的負荷を受ける同歯車ユニットはトライボロジー特性に優れ耐熱性を有する同社のモーションプラスチックで作られている。波動歯車ユニットは直径80mm、直径105mmを用意、回転数6rpmでのトルクは直径80mmで3Nm、直径105mmで25Nm、減速比は50:1。
ReBeLは、同社のローコストロボットのオンラインマーケットプレイスである「RBTX」で注文できる。ここでは、ユーザーはロボットを構成するコンポーネントを自由に選択できる。ユーザーの仕様に完全に合致したローコストロボット・自動化システムが組めるよう、40社以上のパートナー企業が提供するロボット機構部品やカメラ、ソフトウェア、グリッパー、パワーエレクトロニクス、モータ、センサ、制御システムなどから、必要なコンポーネントのリストを作成するほか、様々なキネマティクスの利点をオンラインで提示する。組み付けや試運転のオンラインでのサポートも行う。
シェフラーは、安全で高効率でサスティナブルな食品製造のための直動案内やベアリング、さらに協働ロボット・軽量ロボット向けのベアリングやギヤなどを紹介した。
食品製造装置の安全性・安定稼働・長寿命化に寄与するベアリングは、省エネ・省資源に寄与する低フリクションで腐食防止の材料からなる内外輪、転動体を用いて、食品と接触しても安全なNSFカテゴリH1認証の食品機械用潤滑剤を用いつつ、シールで完全密封し潤滑剤の流出および異物の侵入を防ぐ。腐食がなく洗浄性も良好で、シールレスでコンタミを防止するオール樹脂製ハウジングは食品仕様として最適化。一方で、NSFカテゴリH1認証の固体潤滑剤を用いた無潤滑タイプのベアリングもあり、グリースに起因するコンタミを防止する。
食品パッケージングのピック&プレースやパレタイジングで活躍する協働ロボットや軽量ロボット向けの省スペース・軽量設計の複列アンギュラコンタクト針状ころ軸受は同サイズのクロスローラベアリングと比較して、傾斜剛性を最大30%、摩擦を20%向上させる。また、一体型のはすば歯車段を備えた遊星歯車減速機は、円周方向バックラッシュが0.1分未満で、独自の摩耗調整設計により歯車の円周方向バックラッシュは長いサービス寿命全体を通して変化しない。非常に高い傾斜とねじり剛性を備えることで正確な位置決めを保証。複数の噛み合いにより高い出力密度を実現するほか、 90%以上のエネルギー効率を実現する。
展示会の詳細は以下で確認できる。
◆ハノーバーメッセ2022公式ホームページ
https://www.hannovermesse.de/en/
本件に関する問い合わせ先は以下のとおり。
◆ドイツメッセ日本代表部
International Linkage(インターナショナル リンケージ)
担当:竹生(たけお)
TEL:03-6403-5817 E mail : masahito.takeo@int-llinkage.co.jp