出光興産は、業界初となる無リン無灰のディーゼルエンジンオイル「idemitsu AshFree」(イデミツアッシュフリー、粘度グレード:10W-30、荷姿:200Lドラムまたは20L缶)を開発、発売を開始した。「idemitsu AshFree」は、ディーゼルトラックやバスに搭載される排ガス浄化処理装置DPF※2(Diesel Particulate Filter、ディーゼル微粒子捕集フィルター:DPF)の目詰まりの要因となる灰を出さないオイルで、DPFの寿命延長によるメンテナンス費用の削減やDPF再生時間短縮による労務時間・燃料使用量の削減を実現する。本製品は同社の特約販売店を通じて販売します。
トラックやバスのエンジンに使用されている従来のディーゼルエンジンオイルには清浄性や耐摩耗性を向上させるため、添加剤として金属添加剤が含まれている。一方、これらの金属添加剤は灰となってDPFを詰まらせ、トラブルの要因となることが長年の課題となっていた。
同社ではこの課題を根本的に解決するため、「灰を減らす」のではなく「灰を出さない」というコンセプトのもと、独自の添加剤処方技術により、灰となる金属添加剤を使用しないディーゼルエンジンオイルの開発に取り組み、成功した。
開発したidemitsu AshFreeの特徴(期待効果)は以下のとおり。
1.DPFの寿命延長
DPFは定期的な点検・清掃が必要で、燃料、オイル由来のススやオイル中の金属添加剤に由来する灰分から発生するPM(Particulate Matter : 粒子状物質)が溜まると、自動的にPMを燃焼させる「再生」処理をすることで、フィルターの性能を保持する。走行条件によっては自動再生では再生が完了しない場合があり、手動での再生を実施する必要が生じる。手動再生は30分程度車両を停止させて行う必要がある。これに対しidemitsu AshFree を使用することでDPFに灰が溜まらず、DPFの寿命延長(DPFの交換、洗浄などのメンテナンスコスト削減)が可能となる。
2.労務時間の改善
上述のとおり、DPFの手動再生に費やしていた労務時間を削減し、負担を軽減できる。
3.燃料消費量の削減
DPFの再生回数増加を抑制するため再生に使用する燃料を削減します。
4. 優れた高温清浄性
独自の添加剤処方技術により、優れた高温清浄性と低い蒸発性を有しておりデポジット抑制(EGR等)も期待できる。「JASO DH-2」(日本製ディーゼルエンジン+DPF適合性能)規格より低い硫酸灰分と塩基価を実現し、「JASO DH-2」で制定されている全てのエンジン試験をクリアしている。
5. 環境への貢献
DPFの再生回数抑制などによりCO2排出量の削減につながる。また、リンを使用しないことにより、触媒の被毒を抑え、触媒の交換を減らすことが期待できる。
出光興産では、「1911年の創業以来、超緻密な設計にこだわり続け、潤滑油の技術力を磨いてきた。今後も、この技術力を通じ、労務環境の改善やCO2排出量の削減など、社会課題の解決に貢献していきたい」としている。