イグスは、クリーンルーム向けの製品として、ISOクラス2に準拠するスカラロボット専用の新しいエネルギー供給システム「スカラケーブルソリューション(SCS)」を発売する。同社の高機能プラスチックを使用することで、高速動作する際の粒子の発生が極めて少なく、半導体など精密機器を製造するクリーンルームでの使用に適している。
電子部品や半導体、ディスプレイを製造するような環境では、機械が動作する際の摩耗から生まれる微細な粒子が製品破損の原因になり得る。特にスカラロボットを使用する場合は、4軸でサイクルタイムが1秒以下の高速作業を行うため、材質に応力がかかり粒子のはく離が起きやすくなる。そのため同社では、スカラロボットに取り付けるケーブルやホースをガイドするエネルギー供給システムとして、クリーンルーム専用タイプのSCSを追加した。
SCSの核となる製品はe-skin softというモジュラー式のエナジーチェーン(ケーブル保護管)。ロボットの垂直アームからエンドエフェクターまで、ケーブルとホースを円弧状にガイドする。耐摩耗性に優れた高機能プラスチック素材と、上下に分離可能で密閉状態の防塵チューブを形成するコルゲートチューブ形状が、ケーブルやホースの粒子を内部から出さない仕組みを実現している。
動作中に空気中で検出される粒子は1m3に最大100個(大きさ0.1μmの粒子)というレベルで、SCSはドイツのフラウンホーファー研究機構においてISOクラス2準拠の認証を受けている。
同社は、従来スカラロボットに使用されてきたコルゲートチューブに代わるソリューションとして、SCSを提供する。コルゲートチューブと比較した場合のSCSの主要な利点として以下2点が挙げられる。
・ホースのねじれが発生しにくい:コルゲートチューブは細く剛性に欠くため、ねじれが発生しやすく、ねじれを吸収するベアリングもないことから、チューブの寿命が短くなるケースがある。SCSではケーブルに対する応力を軽減し、耐久性を高めるために、e-skin softの移動端と固定端の接続部に旋回型のベアリングを設置している。ベアリングが回転することにより最短の長さでe-skin softを設置でき、激しく動作する作業には最適。このベアリングもまた、激しい動作の中でも粒子がほとんど発生しないように設計されている
・ホースの開閉が容易でケーブルの挿入が簡便:e-skin softはジッパーの原理を利用しているため、ケーブルやホースの出し入れが容易。コルゲートチューブと比べてケーブルの挿入が素早く行える
要望により、イグスのチェーンフレックス(ケーブル)をSCSに内蔵し、すぐに接続できるレディーチェーンの状態で提供することも可能。SCSには、イグスのIPAクラス1で柔軟性の高いケーブルが900本以上利用できる。