潤滑油協会、全国石油工業協同組合、日本グリース協会、全国オイルリサイクル協同組合、全国工作油剤工業組合の潤滑剤関連5団体は1月16日、東京都千代田区のアルカディア市ヶ谷で「令和7年新年賀詞交歓会」を開催した。
冒頭、挨拶に立った潤滑油協会(JALOS)の石川裕二会長(中外油化学工業 会長)は、「米国次期大統領がトランプさんの再登場ということで、外交におけるさまざまな問題が懸念される。第一次トランプ政権時の化石燃料重視の政策を踏まえ、今後の気候変動政策やエネルギー政策においても世界的に大きな影響があると考えられる。また、経済政策面での為替への影響とともに原油価格の推移についても注視する必要がある。なお、皆様ご承知のように昨年4月にロシア向けに輸出禁止措置として164品目の追加があった。その中に我々が主力としている自動車用エンジンオイルが含まれている。この改正で相当の打撃を受けている専業メーカーも多いと思われるので影響を緩和する何らかの対応を求めたいと思っている。我々潤滑油協会としては、今年は三つのことに注力していきたいと思っている。一つ目は災害に備えたBCPである。BCPの勉強会や保安防災研修会を開催するとともに関連情報の収集・提供を行っている。今必要なのは各社が自社だけでなく他社との業務提携を締結することなど、急速に行動を起こさなければならない時期に差し掛かっていると考えている。二つ目は潤滑油試験制度の安定・向上のため各社に参加をいただいて潤滑油試験の照合試験を継続して行っている。認定証を発行したりアドバイスを行っている。さらに、各社からの試験依頼や受講者の知識や水準に合わせた技術研修会を実施して潤滑油関係従事者の能力向上に努めていく。三つ目はカーボンニュートラルへの対応である。自動車エンジン油のトレンドとしては低粘度に改良していくことで省燃費性やCO2排出抑制に貢献している現在ではあるが、潤滑油業界においても2050年にカーボンニュートラルへの対応が求められていることから、今後は潤滑油の安定供給の確保とカーボンニュートラル対応の両立が大切だ。日本では2019年10月に低粘度エンジンオイルJASO GLV-1を策定し市場導入が開始された。2022年から2023年の委託調査において高温から低温まで粘度変化の少ないオイルが省燃費油の品質評価のガイドラインを策定した。また、廃油を集めて不純物を取り除きベースオイルへ再利用する取り組みである基油再生も進める。現在、資源エネルギー庁からの委託事業として2024年度中に我が国の潤滑油のためのカーボンフットプリント策定、削減貢献量策定ガイドラインと、潤滑油業界のカーボンニュートラルにおけるロードマップを策定することとする」と語った。