ポリプラスチックスは、業界に先駆け立ち上げたメカニカルリサイクル事業の一環として、本年12月までにポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂DURAFIDEⓇ rG-PPSガラス繊維40%強化グレードを上市する予定だ。本事業は、最適処方や客観的な品質保証を同社が担い、メカニカルリサイクル材料の適用用途を拡大することで、エンプラ100%循環化の実現に貢献するもの。
今回上市するDURAFIDEⓇ rG-PPSは、メカニカルリサイクル事業の一環である「オープンPIRメカニカルリサイクルスキーム」によってユーザーから回収した、ガラス繊維強化PPSの工程端材を原料としている。前工程では厳しい受入検査や金属除去などを行い、後工程では狙いのスペックに入るようリサイクル原料同士および一部のバージン材を再処方、最適条件での混練の上、バージン材と同様の体制で品質保証を行い、ユーザーに出荷する。
スーパーエンプラは一般的に製品カーボンフットプリント(PCF)が大きく、「オープンPIRメカニカルリサイクルスキーム」は、ユーザーでの廃棄物削減・有効活用のみならず、ユーザーの製品1個当たりのPCF削減に大きく貢献できる。なお、ユーザーから回収するガラス繊維強化PPSは、当面の間、同社のPPS樹脂DURAFIDEⓇ PPSガラス繊維強化の特定グレードを対象としている。
ポリプラスチックスではDURAFIDEⓇ rG-PPS第2弾として、フィラー高充填グレードを開発し、ガラス繊維40%強化グレードと併せて、日本国内のユーザーへの供給体制確立を目指す。リコンパウンディング事業と「オープンPIRメカニカルリサイクルスキーム」構築には、用途と回収ルート開拓の両方が必要で、同社の得意先だけでなく、さまざまな静脈産業(製造や消費の過程で発生した不要な製品や資材を回収し、再利用やリサイクル、適正処分を行う産業)各企業との連携を視野に入れている。将来的には、世界の国・地域それぞれ内側で完結する「地産地消」循環チェーンの構築、また原料をPCRに拡大することで、動向が注視される欧州ELV規則への対応につなげていく。
なお、リコンパウンディングとは、リマニュファクチャリング(リマン)とコンパウンディングを組み合わせた造語で、同社ではリサイクル原料を含むベース樹脂およびさまざまな成分を複合化し、単純な再生樹脂以上の機能や価値を発現させること、と定義している。
同社のエンプラ製品は熱可塑性樹脂で、原理的にはすべてメカニカルリサイクルが可能だが、エンプラが使われる用途は耐久性・信頼性が求められるものが多く、単純な「樹脂再生(熱で廃プラを変形させペレット形状に戻すこと、いわゆるリペレット)」では要求品質・要求性能を満たせないケースが多い。同社は、エンプラ専業メーカーとして蓄積した材料技術・生産技術・応用技術的知見を生かして、リペレットではなくリコンパウンディングによって、単純な再生樹脂以上の機能と価値を生み出し、メカニカルリサイクル材料の適用用途を拡大することで、エンプラ100%循環化の実現に貢献していく考えだ。
