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第27回機械要素技術展

 

空スペース、保持器を排除して摩擦摩耗を減少させる転がり軸受を開発

 空スペース( http://www.coo-space.com )は、保持器を排除しつつ摩擦摩耗を減少させる転がり軸受「自立分散式転がり軸受(ADB)」を開発した。

 直径1.6㎜の鋼球が硬鋼平面を転がる時の摩擦係数は0.00002で、これは1tの物体を20gの力で動かせることを意味する。これに対し一般的な転がり軸受の転がり摩擦係数は0.001以上で、1tの物体を動かすのに1kg以上の力を必要とすることになる。この乖離の原因は、玉の自転による玉と保持器のすべり(保持器すべり)と半径差による玉と軌道のすべり(作動すべり)の2点。同社ではこの保持器すべりに着目、従来軸受の保持器を取り外し、軌道面に接触点変化路を加工した自律分散式転がり軸受(ADB)を開発した。外輪転送溝の一部を研削除去することで玉が斜めに接触、従来マイナス要因とされてきた作動すべりを利用して、玉同士を非接触にした。

 玉が軌道以外と非接触になることによるメリットは、①摩擦が先述の1/50になる可能性から、軸受損傷を減らし機械効率を向上②動摩擦と静摩擦がほぼ同じとなることで、位置決め精度を向上③摩耗の減少により潤滑寿命を延長④発熱の減少により熱変形を減少することが挙げられる。一方、保持器を省いたことによるメリットは①玉数を増加できることで負荷容量の増大と小型化が可能②保持器にかかるコストを削減③保持器材質による制約がなくなり、耐環境性能が向上することなどだ。こうしたメリットから、半導体製造装置など潤滑環境が悪い用途やボールねじ・直動案内など油膜が切れやすい用途、転動体の速度差が大きくモーメントを受ける用途などで特に効果が大きいという。

 ボールねじ・直動案内など循環路を持つ転がり製品では、転がり軸受のように軌道面に溝を設けるのではなく、循環路の出口を、軌道面よりも、転動体の接触半径が小さくなる形状にする。すると、ねじ溝侵入時に接触半径が増加するので、玉と玉の間にすき間ができるという原理だ。同社では、転がり軸受にせよ直動製品にせよ、自律分散式転がり製品(ADB)とすることで潤滑環境が悪い条件下での作動が有利となることから、潤滑油剤が嫌われるクリーン用途や真空用途、潤滑油剤が機能しにくい水環境下などでの試作を進めている。