NTNは、軸受軌道面の静的強度を高め、自動車のディファレンシャルやトランスミッションに使用可能な「耐圧痕性向上深溝玉軸受」を開発した。
同品は熱処理工程で特殊な表面改質を施し、静的荷重負荷能力の指標であるブリネル圧痕深さを標準熱処理に比べて約1/2に低減させた。これにより、ディファレンシャル等に使用される円すいころ軸受において、玉軸受への置き換えが可能となり、ディファレンシャルサイド軸受においては約60%のトルク低減が期待できるという。また、組み立ておよび予圧管理工数も削減できるため、自動車の低燃費化だけでなく、自動車メーカーでの生産性向上についても効果がある。
自動車の低燃費化やCO2排出量削減のニーズから、軸受にも一層の低トルク・高効率化が求められていた。ディファレンシャルやトランスミッションなどの動力伝達部の軸受は、大きなスラスト荷重が作用するため、円すいころ軸受が多く使用されているが、円すいころ軸受は回転トルクが比較的大きく、また組み立て時に予圧調整が必要であることが課題だった。一方、玉軸受は低トルクで、スラスト荷重の支持も可能だが、本用途で求められる荷重負荷能力を満足する玉軸受はなかったという。