ジェイテクトは、自動車のデファレンシャル(デフ)のピニオン支持に使用されるアンギュラ玉軸受において低トルク性能を向上させた次世代製品を開発した。同社の次世代超低トルク円すいころ軸受(LFT-Ⅳ)で開発した油量制御技術の採用により、一層の低トルク化を実現して自動車の燃費向上に貢献する。2020年に徳島工場で量産を開始、自動車メーカー、アクスルメーカーに提案を進め、5億円/年の売上を目指す。
高負荷容量と高剛性が要求される自動車のデフピニオン用軸受としては一般的に円すいころ軸受が主流だが、欧州を中心にCO2削減や燃費向上を目的に、同じ接触角方向を持った複列型玉軸受に異なる玉ピッチ円直径(玉P.C.D.)を採用し負荷容量と剛性を向上させたタンデムアンギュラ玉軸受(タンデムAC)が、2005年から実用化されている。
今回、このタンデムACにLFT-Ⅳの技術を適用し、一層の低トルク化と長寿命化を実現した製品を開発したもの。
開発品は、CAEを活用した油流れ解析によって樹脂保持器と内外輪形状を最適化することで、軸受に流入する油量を制限し、従来のタンデムACと比較して攪拌損失を最大30%低減することに成功した。デフピニオン支持用の軸受として優れた低トルク性能を発現、車両燃費の1%向上に貢献する。
また、軸受内部に流入する異物量も低減、異物油中寿命で比較すると、従来のタンデムACに対し1.5倍の耐久性向上を実現した。この技術は、単列アンギュラ玉軸受にも適用可能で、玉軸受を使ったデフの環境性能向上と自動車燃費改善に貢献する。