多摩信用金庫が主催する「第15回多摩ブルー・グリーン賞」の表彰式が12月13日に開催、今回は応募総数153件の中から多摩ブルー賞【技術・製品部門】最優秀賞に、不二WPCの開発技術「異物混入対策としての、食品粉体の滑り性向上、付着防止用表面処理の開発」が輝いた。多摩ブルー賞は優れた技術や製品等により地域経済の発展に貢献した、もしくは貢献が見込まれる中小企業、団体または個人事業主を、多摩グリーン賞は新しいビジネスモデルにより地域経済の発展に貢献した中小企業、団体または個人事業主を、それぞれ表彰するもの。
表彰される不二WPC下平氏
ホッパーや計量器など食品粉体搬送用部品の表面には粉体の付着防止や摺動性向上を目的にフッ素系樹脂加工が施されているものが多いが、同加工は摩耗やはく離が起きやすく、食の安全を脅かす異物混入の観点から、搬送部品の脱フッ素系樹脂化が急速に進められている。また、搬送前には篩による選別がなされるが、篩の目詰まりによる生産効率の低下や洗浄による廃棄物の発生なども問題視されている。
これに対し今回多摩ブルー賞最優秀賞を受賞した不二WPCの開発技術は、食品搬送用部品の表面にWPC処理(微粒子投射処理)によって複合的に数μm~数十μmの微細な凹凸を形成して粉体との接触面積を減らすことで、付着抑制と摺動性向上を図るもの。粉体の付着や摺動は接触する面積に依存するため、凹凸面を形成することで篩の目詰まりの防止やホッパーの付着防止が実現できる。WPC処理は微細粒子を高圧空気で投射するだけのはく離のない非コーティング手法であり、サイズ、形状に自由度が大きく、搬送部品などのように大型・複雑形状のものに対しての加工が容易で、微細粒子は回収し再利用されるため、処理そのものも環境負荷が少ない。また、WPC処理は本来、部材の耐久性を向上させる処理のため、効果の長寿命化も期待できることなどが高く評価されての受賞となった。
授賞式で挨拶に立った不二WPC社長の下平英二氏は、「当社は滑りに関するトラブル、摩擦や摩耗に関するトラブル、金属疲労に伴うトラブルなど、技術的な課題を解決する企業を目指している。今回このような栄誉ある賞の受賞を一つの原動力として、課題解決のための今後の取組みを強力に推し進めていきたい」と力強く語った。
挨拶を述べる下平氏