ジェイテクトは、鉄鋼設備の安定操業や環境保全に寄与する多点給油用オイルエアディストリビュータ(6分配)を開発、システムとして提供することで設備の簡素化(配管数、機器の設置場所)を可能とした。同社では、開発したオイルエア潤滑システムと軸受、オイルシール、軸受箱を含めた総合システムサプライヤーとして、鉄鋼設備の簡素化と安定操業に貢献していく。本年4月から販売を開始、日本国内の鉄鋼メーカー、設備メーカーに営業を展開し、年2億円の販売を目指す。
多点給油用オイルエアディストリビュータ(6分配)
近年、鉄鋼設備には安定操業、環境保全の要求が高まっており、鉄鋼設備用軸受へのオイルエア潤滑システムの採用が増加している。同社では1994年より本潤滑システムの量産を開始しており、現在では連鋳設備、熱間・冷間圧延設備などの各種鉄鋼設備用軸受に多数採用されている。
鉄鋼設備の中でも連鋳設備など給油点数が1000を超える設備では、配管数や各機器の配置場所が保全効率の悪化の要因となっており、その解決策の一つとして、オイルエアを複数の設備に分配するディストリビュータが求められていたが、適正なオイルエアの搬送圧の維持と複数分配の両立が課題となっていた。
同社では今回、軸受開発の経験に基づき、様々な使用環境に対応できる多点給油用オイルエアディストリビュータ(6分配)を開発し、設備の簡素化を可能とした。また、現在、それ以上の分配数を開発中で、一層の簡素化を目指している。
同オイルエア潤滑システムの特徴は、①軸受箱内の正圧化による高い密封性確保や、高粘度油、極圧油の適用による高い潤滑性能を実現、過酷な環境下での摩耗・損傷を大幅に改善、②最少油量での潤滑による運転コスト改善や、オイル回収による設備周辺環境改善など、設備保全を改善、小径配管の適用による容易な配管設計や、少数給油から多点給油まで幅広いシステム設計など、容易な適用性、など。
オイルエア潤滑システムの機器構成
連続鋳造設備への適用では、①自動調心ころ軸受特有の摩耗を大幅に低減、②摩耗、剥離、さびの要因による軸受交換数を削減、③軸受寿命が延び、突発事故の発生を削減、④メンテナンス時の軸受洗浄工数を削減、などの効果が得られる。
圧延設備への適用では、①小径配管の適用による容易な配管設計、②ランニングコスト削減(オイルミスト潤滑の1/3)、③高粘度油、極圧油の適用による高い潤滑性能、などの効果が得られる。