NTNは、手首関節モジュール「i-WRIST®」の「IWSシリーズ」の可搬性能を向上させた新グレード「IWS-C01」を開発した。i-WRIST本体のサイズは従来のIWSシリーズのコンパクト性(折れ角90°仕様:W417mm×D365mm×H196mm、折れ角45°仕様:W474mm×D415mm×H185mm)を維持しつつ、最大可搬質量が1kgから3kgに増加し、従来よりも幅広い種類のエンドエフェクタの搭載や製品の取り扱いが可能となり、様々な製造工程の自動化と効率化に対応するとともに、生産現場の省人化に貢献できる。
同社では、外観検査、グリース塗布、洗浄、組立、バリ取りへの用途展開を図り、2025年度に5億円/年の販売を目指す。
i-WRISTは独自のリンク機構により、手首のようななめらかな動きを実現するロボティクス・モジュール商品。半球状の全方向に対して高速・高精度に位置決めを行うi-WRISTでエンドエフェクタや製品の姿勢を制御することで、外観検査やグリース塗布、製品洗浄などの工程を自動化することが可能となる。
2021年にはIWSシリーズを開発し、動作速度の向上や、従来の下向きに加えて横向きや斜め向きなど取付け姿勢を自由に選択できるようにするなど、一部の機能を拡張。タクトタイムが短縮されるだけでなく、取り扱う製品や用途に応じて柔軟な装置設計が可能となっている。通常は2台以上の多関節ロボットで行う複雑な形状の製品の外観検査も、1台のIWSシリーズで実現できる。
今回、同社がi-WRISTを市場展開する中で、ユーザーからの要望の強かった可搬性能の向上に対応するため、制御方法の最適化により最大可搬質量を1kgから3kgに増加させたIWSシリーズの新グレードIWS-C01を開発したもの。最大可搬質量を増加させたことで、搭載可能なエンドエフェクタや製品が増え、より幅広い用途に適用できる。
外観検査用途において、i-WRISTで製品の姿勢を制御する場合、小型・軽量な樹脂部品だけでなく、小型のアルミダイキャスト部品など人の手で取り扱う重さの製品の大半を取り扱うことが可能となる。また、i-WRISTにエンドエフェクタを取り付けて制御する場合は、大型照明や高性能カメラの搭載が可能となり、より細かい傷や打痕の検出ができるようになる。
外観検査のほかにも、バリ取り加工などエンドエフェクタへの負荷が大きく変動する工程にも活用できる。