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イグス、最高110℃に耐える3Dプリント材質を開発

 イグスは、最高110℃の耐高温性を有する3Dプリンター用粉末状材質「イグリデュールi230」を開発、提供を開始した。本材質により、3Dプリント部品の適用が難しい高温環境での使用可能性が広がっている。

イグス 110℃の環境でも使用可能な粉末状3Dプリント材質「イグリデュールi230」 bmt ベアリング&モーション・テック
110℃の環境でも使用可能な粉末状3Dプリント材質「イグリデュールi230」

 

 少量生産品や試作部品を迅速にコスト効率よく製造するために、3Dプリントを利用する設計者が増えている。3Ⅾプリントの造形方法の中でも、粉末焼結積層造形(SLS)方式は強度が高く人気の方式である一方で、PA12のような標準的なSLS用材質は一般的に80℃を超える環境で使用すると寸法安定性が失われていた。

 周辺温度が高い環境でも使用できる3Dプリント製品の需要の高まりを受け、イグスでは今回、熱に強い粉末状3Dプリント材質「イグリデュールi230」を開発したもの。i230は、最高110℃の環境で長期間使用が可能で、DIN EN ISO 75 HDT-AおよびHDT-Bに準拠した外部認定機関の試験によって耐熱性が証明されている。

 i230は、耐熱性が高いだけでなく、耐摩耗性にも優れている。イグスの社内試験施設で実施した検証試験において、i230はPA12よりも約80%耐摩耗性が高いことが確認された。同時に、i230は室温での機械強度がPA12よりも約50%高く、曲げ試験では94MPaの圧力にも耐えるという結果を得ている。これにより、従来と同程度の部品強度を備えたより薄いすべり軸受などを実現でき、スペースと重量を減らすことが可能となる。

 i230はさらに、静電気散逸性(火災の原因などにもなる静電気の放電から機器を保護する)、PTFE無配合(他のイグス製材質と同様)などの特徴を有している。

 従来、3Ⅾプリント部品は耐久性や精度の制約から、産業分野においては評価試験や少量生産の用途に限られるとの理解が一般的だったが、イグスの3Dプリントサービスは以下の特徴により、最終製品としての部品製造が可能となっている。

① 高機能な素材
・摺動に特化したイグスの自社開発素材を使用
・標準的な3Dプリント用プラスチック(PLA/ABS)の最大50倍の耐摩耗性により高耐久を実現
・耐薬品性、FDA対応など、用途に合わせた特性を持つ素材を使用可能

② 高い精度
・射出成形、機械加工では難しい複雑な3D構造を加工可能
・2種類の素材をFDM(熱溶解積層法)で製作可能。複数部品で構成されていた箇所を、一つの部品に設計変更できる

③ 費用算出が簡単
・見積もりが不要、オンライン計算ツールで価格を提示(一部加工を除く)
・1個から必要な数だけ注文可能(最大10000個)
 

イグス イグリデュールi230を使用した3Dプリント部品の例 bmt ベアリング&モーション・テック
イグリデュールi230を使用した3Dプリント部品の例

 

 3Dプリントサービスは、オンライン上でCADデータをアップロードし、サイズや数量、表面処理などを選択するわずかなステップで注文が可能。

イグスのオンライン3Dプリントサービスについては以下で確認できる。
https://www.igus.co.jp/info/3d-print-3d-printing-service

オンライン3Dプリントサービスの利用については以下で確認できる。
https://iglidur-designer.igus.tools/model